ブーシェフル

ブーシェフル



イラン南西部のペルシア湾岸に位置する、同国屈指の重要な港湾都市。ブーシェフル州の州都であり、首都テヘランからは南へ約400キロメートルの距離にある。温暖湿潤な気候が特徴。ペルシア語では「バンダレ・ブーシェフル」とも呼ばれ、「ブシェフル」など複数の日本語表記がある。2005年時点の人口は約16万5千人。

歴史



ブーシェフルの歴史は、1736年アフシャール朝ナーディル・シャーによって現在の都市が創建されたことに始まる。しかし、遡ること5世紀には、この地は「レイシャフル」と呼ばれ、ネストリウス派キリスト教の重要な拠点であった。

18世紀後半からは国際的な交易の要衝としての役割を強める。1763年にはザンド朝のカリーム・ハーンがイギリス東インド会社に商館設置を許可。これにより、英国海軍の基地や主要な交易港として発展した。

度々外部勢力との衝突があり、1856年のイギリス・ペルシア戦争中にはイギリス軍に占領され、1915年にはドイツの工作活動を背景に再びイギリス軍に一時的に占領された。

20世紀初頭まで、アフリカ系住民が多数居住しており、彼らの文化的な影響が見られる。

産業と交通



主な産業は漁業や熱気発電。後背地ではブドウ栽培、金属工芸、織物絨毯)、セメント肥料製造なども行われている。イラン海軍の主要基地の一つも置かれている。

交通網の要としてブーシェフル空港がある。

原子力発電計画



ブーシェフル近郊には、イランの原子力開発計画の中心の一つである原子力発電所がある。当初計画は1975年西ドイツ(当時)のシーメンス社との契約に基づき、複数基の原子炉建設を目指したが、1979年イラン革命により中断。建設はかなり進んでいたものの、契約上の問題などで工事は停止した。

その後、イランイラク戦争中のイラクによる空襲で施設は損害を受け、建設計画は凍結状態となった。イランシーメンス社に完工を求めたが、国際情勢の影響もあり実現しなかった。

1995年イランロシアとの間で軽水炉供給に関する新たな契約を締結。この契約には、使用済み核燃料をロシアへ返還し再処理するという条項が含まれている。しかし、一部の国(特にアメリカ合衆国)は、イラン燃料棒を国内で再処理し、核兵器転用可能なプルトニウムを取り出す可能性について懸念を表明。ブーシェフル原発は、イランの核開発問題を巡る国際的な議論の中心地の一つとなっている。

高等教育機関



市内には以下の高等教育機関が所在する:

ペルシア湾岸大学
ブーシェフル医科大学
イスラーム自由大学ブーシェフル校
イラン原子力エネルギー大学

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