プジョー・206

プジョー206：フランスのコンパクトカーが築いた成功物語

プジョー206は、プジョー社が1998年から2012年まで製造・販売したコンパクトカーです。1998年9月、パリサロンで発表された206は、それまでのモデルとは異なる、社内デザインチームが手掛けたスタイリッシュなデザインが大きな特徴でした。このモデル以降、プジョーのデザインは社内開発体制に移行することになります。

日本市場においては、洗練されたデザインと魅力的な価格帯が相まって、予想をはるかに超える大ヒットを記録しました。206の成功は、プジョー・ジャポンにとって屋台骨となる存在となり、2000年には同社の年間販売台数が1万台を突破するほどの大きな貢献を果たしました。

206の右ハンドル仕様車は、イギリスのコヴェントリー近郊にあるライトン工場で生産されていました。この工場は、プジョーが1979年にクライスラー・ヨーロッパから買収したものでしたが、206の後継モデルの生産開始に伴い、2007年1月に閉鎖され、生産拠点は東欧に移管されました。

後継車種となる207や208の登場後も、206は廉価モデルを中心に2012年まで販売が継続されました。長きに渡る販売期間からも、その人気と信頼性の高さが伺えます。

日本市場における206の歴史

日本の市場では、1999年5月に1.4Lと1.6Lエンジンのモデルが導入されました。当初は5速MTが中心でしたが、1.4Lモデルには4速ATも設定されました。同年6月には、2.0Lエンジンを搭載したスポーティモデル「S16」が登場し、注目を集めました。その後も、マイナーチェンジや限定モデルの投入が繰り返され、顧客の多様なニーズに応える展開が続けられました。

2001年には1.6LエンジンのDOHC化や4速ATの追加、装備の充実など、商品性の向上が図られました。同年4月には、電動開閉式メタルルーフを備えたオープンモデル「206CC」が発売され、新たな市場を開拓しました。

2002年には、ステーションワゴンモデル「206SW」が登場し、より広い室内空間を求めるユーザー層を獲得しました。同年、全仏オープンテニスの公式スポンサーとして「ローラン・ギャロス」限定モデルが発売され、話題となりました。

2003年にはエントリーグレードの「Style」が追加されるなど、幅広い価格帯でモデル展開が行われました。また、WRCモデルをイメージしたスポーティな「206RC」も投入され、スポーツ志向のユーザー層にも訴求しました。

その後も、数々の限定モデルが発売され、常に話題性のあるモデルとして市場に存在感を示しました。2007年には後継車207の導入とユーロ高の影響により、日本での販売が終了しました。

ボディバリエーション

日本市場では、3ドアハッチバック、5ドアハッチバック、オープンモデルの206CC、ステーションワゴンの206SWが販売されました。206CCは、電動開閉式のハードトップを採用したクーペカブリオレで、300万円を切る価格設定が魅力でした。206SWは、専用のリアドアとピラーに内蔵されたドアノブが特徴です。他にも、限定モデルとしてWRC仕様をベースにした206GTが発売されました。

日本国外では、4ドアセダンモデルの206SDや、ブラジルで独自開発された206+などが存在しました。これらのモデルは、地域ごとのニーズに合わせた仕様となっています。

WRCでの活躍

[プジョー]]は、1999年から2002年にかけて、206をベースとしたWRカー「206 WRC」を世界ラリー選手権]に投入しました。コンパクトなボディに2.0Lターボエンジンと[[四輪駆動システムを搭載した206 WRCは、高いパフォーマンスを発揮し、2000年から2002年にかけて3連覇を達成しました。この成功は、かつてグループB時代に活躍した205 T16の栄光を彷彿とさせるものでした。

プジョー206は、スタイリッシュなデザイン、手頃な価格、そしてWRCでの成功という、多くの魅力を兼ね備えたモデルでした。その人気は、日本のみならず世界中に広がり、プジョーの歴史に大きな足跡を残しました。

もう一度検索