プリンス・エドワード諸島

プリンス・エドワード諸島

プリンス・エドワード諸島は、南アフリカ共和国のポートエリザベスの南東約1,770kmのインド洋に位置する、マリオン島とプリンス・エドワード島の2つの島からなる諸島です。南アフリカ共和国の領土であり、行政上は西ケープ州に属していますが、定住者はいません。

地理

プリンス・エドワード諸島は、亜南極地帯に位置する火山起源の島々です。この島々は、ワタリアホウドリ、ノドジロクロミズナギドリ、ススイロアホウドリ、ヒガシキバナアホウドリなど、多くの海鳥にとって重要な繁殖地となっています。また、オウサマペンギン、マカロニペンギン、ヒガシイワトビペンギンの3種類のペンギンも繁殖しています。

島の地形は主に、植生のない高地、植生のある水はけの良い傾斜地、そして水はけの悪い海岸平野の3種類に分けられます。泥炭地、小川、滝、淡水の池、火口湖、岩石海岸、藻場、海食崖、砂浜海岸など、多様な景観が見られます。周辺海域にはマジェランアイナメなどの魚が生息しており、豊かな生態系を育んでいます。2007年にはラムサール条約登録地として登録されました。

マリオン島

マリオン島は、南緯46度54分45秒、東経37度44分37秒に位置し、面積は約290平方キロメートル、海岸線は約72キロメートルです。海岸線の大部分は崖となっています。島の最高地点は、マスカリンピークで標高1230mです。

マリオン島は火山活動によって形成され、海底からの高さは約5000mに達します。かつては死火山と考えられていましたが、1980年に噴火し、その後も2004年まで断続的に噴火が続きました。

プリンス・エドワード島

プリンス・エドワード島は、マリオン島の北東約19km、南緯46度38分39秒、東経37度56分36秒に位置します。マリオン島よりも小さく、面積は約45平方キロメートル、海岸線は約12km、最高地点の標高は672mです。

歴史

1663年にオランダ東インド会社の貿易船Maerseveenによって偶然発見されましたが、当時の技術では正確な経緯度を記録できなかったため、その後見失われてしまいました。1772年、南方大陸の探索を行っていたフランスの探検家マリオン・デュフレーヌによって再発見されました。彼の副官であったジュリアン・クローゼーは、1776年にケープタウンでジェームズ・クックと出会い、この諸島の存在を伝えました。その後、クックは諸島へ向かいましたが、悪天候のため上陸はできませんでした。クックは、諸島の名称を王子エドワードにちなんで名付け、主島を再発見者の名を取ってマリオン島と海図に記しました。

最初に上陸した記録が残っているのは1803年のアザラシ狩猟者のグループですが、彼らは上陸する以前に他の人間が上陸していた痕跡を発見しています。

1840年にはジェイムズ・クラーク・ロスが訪れましたが、上陸はできませんでした。1873年にはジョージ・ネアズ船長による調査が行われました。

プリンス・エドワード諸島周辺では、過去に何度か海難事故が発生しています。1849年にはイギリス船がプリンス・エドワード島で難破し、乗組員63名のうち生存者はわずか10名でした。1908年にもノルウェー船がマリオン島で難破しています。

1908年、イギリス政府はウィリアム・ニュートンに21年間のグアノ採掘権を与え、1926年にはsealing companyに10年間のアザラシ狩猟を許可しました。

1947年末から1948年にかけて南アフリカがこの諸島を併合し、マリオン島の東岸に気象観測所を建設しました。その後、観測所は拡大され、現在は島の生物（ペンギン、ウミツバメ、アホウドリ、カモメ、アザラシなど）の研究が行われています。

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