プログレスMS-28

プログレスMS-28：ISSへの生命線となった補給ミッション

プログレスMS-28は、国際宇宙ステーション（ISS）へ不可欠な物資を届けるために運用された、ロシア連邦宇宙局ロスコスモスによる無人宇宙補給船です。ロシアでの製造番号は458、NASAからはプログレス89Pとしても認識されており、プログレス宇宙船としては通算181回目の重要な飛行ミッションを担いました。

このミッションの幕開けは、2024年8月15日、協定世界時（UTC）午前3時20分17秒（射場現地時間では午前8時20分17秒）のことでした。カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の31番射点から、信頼性の高いソユーズ2.1aロケットに搭載されて宇宙へと打ち上げられました。プログレスMS-28には、ISSで活動する第71次および第72次長期滞在クルーのために、合計でおよそ2,621キログラム（約5,778ポンド）に及ぶ多種多様な補給品が積み込まれていました。これには、日々の生活に欠かせない食料や飲料水、衣類をはじめ、宇宙での科学研究やステーションの維持管理に必要な各種装備品や燃料が含まれています。

打ち上げから約2日後の2024年8月17日、UTC午前5時55分07秒に、プログレスMS-28は無事にISSへの自動ドッキングを成功させました。接続先は、ISSのロシア区画にあるズヴェズダモジュールの船尾側ポートです。これは、先行してドッキングしていたプログレスMS-26に代わる形での接続となりました。

プログレス補給船の重要な役割の一つは、ISSへの物資輸送だけでなく、ステーションの軌道維持やデブリ回避といった軌道マヌーバの実行です。プログレスMS-28も、ISSが大気の抵抗によって徐々に高度を下げるのを補うための「リブースト」や、接近する宇宙デブリとの衝突リスクを回避するための軌道変更を複数回実施しました。例えば、2024年8月27日にはソユーズ宇宙船の運用に備えて約1.95 m/sの増速を行いISSの軌道を約3.4キロメートル上昇させ、9月5日にも同様の目的で約1.42 m/sの増速を実施し軌道を約2.48キロメートル上げました。また、11月19日や11月25日には、それぞれ約0.5 m/s、約0.3 m/sの増速による衝突回避マヌーバを実行しています。これらの軌道操作は、ISSが安全かつ安定した軌道を維持するために不可欠な任務です。

プログレスMS-28が輸送した積荷は、与圧区画に搭載される貨物と、非与圧区画に搭載される燃料や水、ガスに大別されます。クルーが直接アクセスできる与圧区画には、1,201キログラム（約2,648ポンド）の食料品、衣類、実験機材などが収められていました。一方、非与圧区画のタンクには、ステーション内の環境維持に用いられる資源として、950キログラム（約2,090ポンド）の燃料、420キログラム（約930ポンド）の飲料水、そして50キログラム（約110ポンド）の窒素ガスが搭載されていました。これらの流体やガスは、自動システムを通じてISS内部に移送されます。

約6ヶ月間にわたりISSに滞在し、補給や軌道維持に貢献した後、プログレスMS-28はその役目を終えました。次期補給ミッションであるプログレスMS-30の打ち上げ準備のため、2025年2月25日、UTC午後8時17分33秒にISSからのドッキング解除が実行されました。その後、宇宙船は減速機動を開始し、同日午後11時21分UTCごろに地球大気圏への再突入を開始しました。燃え尽きずに残った破片は、翌日2月26日、UTC午前1時05分ごろに南太平洋上の予定された海域へ落下したと推測されています。プログレスMS-28ミッションは、ISSの継続的な運用を支える上で、物資輸送と軌道制御の両面で重要な役割を果たしました。

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