プロトン・サトリア

プロトン・サトリアとは

プロトン・サトリアは、マレーシアの自動車メーカーであるプロトンによって、1994年から2015年まで生産・販売されていたハッチバック車です。三菱自動車工業のミラージュをベースにした初代モデルから、プロトン独自開発のプラットフォームを採用した2代目サトリアネオまで、そのスポーティなデザインと走行性能で人気を博しました。本稿では、サトリアの歴史と特徴、そして後継車であるサトリアネオについて詳しく解説します。

初代サトリア（1994年 - 2005年）

1995年に生産が開始された初代サトリアは、4代目三菱・ミラージュをベースとしており、内装とフロントデザインが変更されました。エンジンは、直列4気筒の1.3L、1.5L、1.6Lの3種類が用意され、5速MTが標準で組み合わされました。1.5Lと1.6Lエンジン搭載車には、オプションで3速または4速ATを選択できました。

グレードは、「LSi」、「GLi」、「GLSi」、「SEi」の4種類が存在し、それぞれ搭載エンジンが異なっていました。1996年には、マレーシアでフェイスリフトが行われ、フロントグリルやテールライトのデザインが変更されています。また、このタイミングでエンジンも新型に変更され、新グレード「LXi」、「S LXi」、「GTi」が追加されました。GTiには、1.8Lエンジンが搭載され、ロータスによるエンジンやハンドリングの改良が施されました。

2004年下旬には、GTiをベースにした特別仕様車「R3」が登場しました。プロトンのレーシング開発チームとロータスが共同開発したこのモデルは、スモークヘッドライトやmomoステアリングを装備し、軽量化のために遮音材やエアバッグが取り外され、車重は995kgに抑えられました。R3は150台限定で生産され、「Race」、「Rally」、「Research」の頭文字を取って名付けられました。

2代目サトリアネオ（2006年 - 2015年）

2006年6月16日、サトリアの後継車としてサトリアネオが発売されました。このモデルは、プロトンが独自に開発したプラットフォームをベースとしており、Gen-2やワジャと一部コンポーネントを共有しています。開発には5億リンギットと4年の歳月が費やされ、月販目標台数は2,000-2,500台とされていました。

エンジンは、プロトンが独自開発した1.3Lと1.6Lのカンプロエンジンが搭載され、トランスミッションは5速MTと4速ATが用意されました。グレードは「L」、「M」、「H」の3種類で、ベースグレードのLのみに1.3Lエンジンが搭載されました。2009年2月には、最上級グレードとして1.6L カンプロCPSエンジンを搭載した「CPS」が発売されています。

サトリアネオは、FIA スーパー2000のラリーカーとしても開発され、ルノー製1.8Lエンジンを搭載したモデルが、2009年のIRC（インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ）やアジアパシフィックラリー選手権に参戦しました。2011年にはアジアパシフィックラリー選手権でチャンピオンを獲得しています。

2010年12月には、キャロッセによってサトリアネオが日本に正規輸入販売されることが発表され、2011年の東京オートサロンでラリーカーコンセプトとR3が参考出品されました。キャロッセは、日本のモータースポーツ活性化のため、手軽なベース車両としてサトリアネオを導入すると発表しました。

2012年6月、サトリアネオはPHP制度による国土交通省型式認定車となり、同年8月にはJAF登録車両として承認されました。

2015年、サトリアネオは5ドアハッチバック車のサプリマSに統合される形で販売を終了しました。日本市場向けには、2018年8月時点で輸入在庫対応分に限り販売が継続されていましたが、同年12月末までに全て完売しました。

車名の由来

「Satria」は、サンスクリット語で「騎士」を意味し、そのスポーティさを表現するために採用されました。

プロトン・サトリアは、マレーシアの自動車産業を代表する一台として、その名を歴史に刻んでいます。

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