ヘルマン・ホフマン

ヘルマン・ホフマンの生涯と上智大学創設への貢献

ヘルマン・ホフマン（Hermann Hoffmann, 1864年6月23日 - 1937年6月1日）は、ドイツ出身のイエズス会司祭、哲学者、教育者、そして作家です。彼は1910年に来日し、上智大学の設立に多大な貢献を果たし、1913年から1937年まで初代学長を務めました。彼の生涯は、教育と信仰への深い献身によって特徴づけられます。

生い立ちと教育

1864年、ホフマンはプロイセン王国ライン地方のエルベルフェルトで生まれました。洗礼を受けた後、1880年に16歳でイエズス会に入会し、オランダで2年間の修道生活を送りました。1885年からはオーストリアのフェルトキルヒにある中学校で教鞭を執り、教育者としての基礎を築きました。1889年からは再びオランダで哲学を学び、1892年にはイギリスで神学を修めました。1895年に司祭に叙階された後、オランダの聖イグナティウス大学でさらに3年間神学研究を続けました。1898年からは7年間、同大学で哲学部長として教鞭を執りました。

日本での活動と上智大学の設立

1906年、教皇ピオ10世からの要請を受け、イエズス会は日本に高等教育機関を設立することを決定しました。ヨゼフ・ダールマンら3名が派遣され、ホフマンは1910年にその一員として来日しました。当初、獨協学園でドイツ語を教えながら、大学開設に向けて奔走しました。1911年、私立学校令改正に先立ち、財団法人上智学院の設立認可を得て、理事に就任しました。

上智学院の設立後、ホフマンは大学の用地取得に尽力しました。小石川での交渉は失敗に終わりましたが、麹町区紀尾井町（現在のキャンパス所在地）の土地を最終的に取得することに成功しました。文部省との交渉を経て、1913年3月28日、上智大学は専門学校令による設立許可を受け、ホフマンは初代学長に就任しました。

上智大学学長としての困難と業績

学長就任後も、ホフマンは様々な困難に直面しました。第一次世界大戦によるドイツからの援助の一時的な途絶、1923年の関東大震災による校舎倒壊、そして1932年の上智大生靖国神社参拝拒否事件など、困難な状況の中でも、大学の発展に尽力しました。1929年には大学令による大学への昇格認可を受け、新制の上智大学の学長に再任されました。

晩年と死

1936年夏頃から体調を崩し、聖母病院に入院。1937年3月には昭和天皇から銀杯を賜りました。その後、容態が悪化し、同年6月1日に死去しました。

ホフマンのエピソード

• - 紀尾井町の土地登記の際、登記所から資金証明を求められ、横浜の銀行で高額の小切手を発行させました。
• - 文部大臣との面会では、イエズス会士であることについて質問を受け、「学長としては政府に対して責任を負うが、上長との関係は個人の問題である」と説明し、理解を得ました。
• - 入院中、卒業生たちが献金して胸像が作られ、完成した胸像を病床で見せられた際は大変喜んだそうです。
• - 亡くなる前日には、タバコを吸いたいと言い、数回吸って静かに息を引き取ったと伝えられています。

ホフマンのドイツ語授業

「上智大学五十年史」には、ホフマンのドイツ語授業について、生徒の理解度に応じた丁寧な指導であったことが記されています。彼は、生徒が楽しみながら語学を学べるよう、熱心に授業を行ったとされています。

関連事項

• - 上智大学
• - イエズス会

参考文献

• - 池田敏雄著『人物による日本カトリック教会史-聖職者および信徒-75名伝』(1968年)
• - 武内博著『来日西洋人事典〔増補改訂普及版〕』(1995年)
• - 上智大学出版部『上智大学五十年史』(1963年)
• - 上智大学・東京ソフィアクラブ『ホフマン先生のおもいで-20周忌記念』(1957年)

外部リンク

• - 歴代学長と上智大学100年の歩み

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