ヘンリー・ホランド (第3代エクセター公)

ヘンリー・ホランド：悲劇の貴族、第3代エクセター公の生涯

第3代エクセター公ヘンリー・ホランド（1430年 - 1475年）は、薔薇戦争期のイングランドにおいて、ランカスター派の重要な貴族であり軍人でした。彼は、その血筋の近さから王位継承の可能性も秘めていましたが、その生涯は波乱に満ちたものでした。

生い立ちと性格

ヘンリー・ホランドは、父ジョン・ホランドと母アン・スタッフォードの間に生まれました。父方の祖母エリザベス・オブ・ランカスターは、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの娘であり、ヘンリー4世の同母姉にあたるため、ヘンリー6世とは又従兄の関係でした。このように、彼は非常に王位に近い血筋を持っていました。

しかし、エクセター公は残酷で野蛮、気難しく気まぐれな性格であったため、周囲からの支持はほとんど得られませんでした。また、彼は一時ロンドン塔の管理者でもあり、その拷問台は後に「エクセター公の娘」と呼ばれるようになりました。

薔薇戦争での活躍と没落

1447年、エクセター公はヨーク公リチャードの娘アン・オブ・ヨーク（後のエドワード4世の姉）と結婚しました。しかし、彼はヨーク派とは敵対関係にあり、ウェイクフィールドの戦い（1460年）や第二次セント・オールバンズの戦い（1461年）では、ランカスター派の指揮官として勝利を収めました。

しかし、タウトンの戦い（1461年）ではランカスター派は大敗し、エクセター公はスコットランドへ逃亡、後に王妃マーガレット・オブ・アンジューとフランスで合流しました。彼は訴追され、財産と所領は別居中の妻アンのものとなりました。

1470年、ヘンリー6世が一時的に復位すると、エクセター公は地位と財産の多くを取り戻すことができました。しかし、1471年のバーネットの戦いでランカスター派は再び敗北し、エクセター公自身も重傷を負いました。

彼は捕らえられ収監され、1474年にはアンと離婚しました。翌1475年、エドワード4世のフランス遠征に「志願」したものの、帰りの航海中に船から転落し溺死しました。一部では、国王の命令で船外に放り出されたという説もあります。

死後

息子がいなかったため、エクセター公位は消滅しました。一人娘のアン（1455年頃 - 1475年頃）は、ドーセット侯トマス・グレイと結婚しました。

ヘンリー・ホランド、第3代エクセター公は、王位に近い血筋を持ちながらも、その性格と時代の波に翻弄され、悲劇的な最期を迎えた貴族でした。彼の生涯は、薔薇戦争という激動の時代を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

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