ベア級カッター

ベア級カッターについて

ベア級カッター（Bear-class cutters）は、アメリカ沿岸警備隊が運用する中距離用のカッター艦級です。この艦級は、著名なカッターからその名が取られており、ジェーン海軍年鑑やアメリカ海軍協会ではフェイマス型（Famous-class）とも呼ばれています。1977年度に建造計画が始まり、1983年からは13隻が順次就役しました。

来歴

ベア級の建造は、1930年代に造られたトレジャリー型カッターの更新を目的として進められました。1977年度から1979年度にかけては2隻ずつの建造が計画され、1980年度計画では3隻、1981年度に1隻、そして1982年度には再び3隻が発注されました。しかし、1979年度以降の建造に関しては、事業者間の訴訟問題が発生し、計画は一時的に遅延しました。これらの建造の裏には、複雑な契約プロセスが影響していました。

設計

ベア級カッターは、長船首楼型という特徴的な設計を採用しています。大西洋の厳しい海域での運用を考慮し、幅広の船体が求められましたが、排水量に対して過積載気味となり、当初は耐航性に難がありました。そのため、31番砲は嵩上げされ、後に減揺装置が追加されました。主機には、アルコ社のV型18気筒ディーゼルエンジンを搭載し、発電機としてはキャタピラー社製のディーゼルエンジンから供給される3基の発電機を装備しています。

装備

本級の特徴ですが、沿岸警備隊の艦艇として初めて、統合された指揮管制システムを導入しました。これにより、戦術情報処理装置SCCS-270や統合化船橋システムCOMDACが搭載され、民生用コンピュータを利用して構築されたシステムとなっています。艦首には62口径76mm単装速射砲を装備し、火力支援能力を強化しています。加えて、近接防御のために小火器用のマウントを設置し、多様な武器を搭載可能としています。

さらに、電子戦装備としては、電波探知装置AN/SLQ-32|AN_SLQ-32やデコイ発射機を装備。広範な電子戦能力を持つことも特徴です。船楼甲板の後半部にはヘリコプター甲板が設けられ、中型ヘリコプターの搭載が可能です。これは、同級の中では唯一の特徴です。

有事の際には、ファランクスCIWSや艦対艦ミサイルの発射筒を搭載できるようになっており、対潜任務に適応する能力も持っています。1988年には「エスカナーバ」が対潜護衛艦として改装され、運用試験が行われましたが、その後計画は中断されました。

同型艦

この艦級を基に、中華民国の海巡署は艦載機能を持った巡視船を設計し、名「和星」、「偉星」の艦を建造しています。

結論

ベア級カッターは、アメリカ沿岸警備隊の中で重要な役割を果たしてきた艦艇であり、その設計や装備は時代に合わせて進化し続けています。警備活動における多様な任務に対応できる性能を有し、海洋安全や法執行活動に大きく貢献しています。

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