ベバスト

ベバスト (Webasto SE)

ベバストは1901年に創立されたドイツの自動車関連企業で、本社をミュンヘンに置き、世界46カ国に営業拠点、15カ国で製造拠点を持つ多国籍企業です。主に自動車用のルーフやヒーターを製造・販売しており、特に厳しい気候条件に適したヒーターは、キャンピングカーやトラックなどで広く利用されています。日本市場でも高い評価を得ており、多くのユーザーに支持されています。

FFヒーター

FFヒーターは、エンジンを停止した状態でも使用できるパーキングヒーターで、キャンピングカーやトラック向けに設計されています。このヒーターはガソリン、軽油、灯油のいずれでも動作可能で、モデル名に含まれる数値は最大暖房能力をワット数で表しています。FFヒーターの特筆すべき点は、外気を暖めるのではなく車内の空気を循環させることで、高い熱効率を実現していることです。

例えば、2.0 kWモデルでは、1時間使用した場合の燃料消費は約0.18リットルと非常に効率的です。温度センサーによる調整によって、8時間使用しても燃料消費は1.0 - 1.5リットル程度で済みます。この高性能なヒーターは、「ベバスト」というブランド名そのものが自動車用パーキングヒーターの代名詞として知られるほどの存在感を持っています。特にボルボの商用車など、新車時にオプションとして選べることもあります。

ウェバスト式暖房

FFヒーターは鉄道車両向けにも応用されており、蒸気暖房やエンジンからの温水暖房が使用できない場合に役立っています。日本では国鉄がこのシステムを「ウェバスト式」と名付け、広く使用されています。私鉄の車両でも採用されており、特に厳しい冬季には多くの利用者に重宝されてきました。

日本法人の歴史

1978年、ベバストは大協（現在のダイキョー・ニシカワ）と共同出資してダイキョー・ベバストを設立しました。同年にはマツダRX-7のデタッチャブルブルトップを開発し、1985年には世界初の電動式キャンバストップを発表。この製品はフォード・フェスティバおよび日産・マーチのラインナップに採用されました。1995年にはマツダ・ボンゴフレンディ用のオートフリートップも手掛けました。

1999年にベバストの完全子会社が設立され、ヒーター市場にも参入しました。2002年にはダイハツ・コペンのデタッチャブルハードトップ、2006年にはマツダ・ロードスターのリトラクタブルハードトップを提供しました。さらに、2007年には日産・ムラーノのパノラマルーフも手掛けています。

後付けサンルーフ

日本国内では後付けサンルーフの需要が高く、ダイキョー・ベバストがドイツ本社に提案したことで製造が始まりました。1986年には手動式ムーンルーフX-03を開発し、1992年には電動で開閉可能なトップスライダーも発表しました。その後、ドイツのベバストは後付けサンルーフ専用の開発拠点をオランダに設立し、世界的な販売を開始しました。

こうした製品群は特に日本市場で成功を収め、OEM供給も行われています。2016年には日本での販売がレアバリュージャパンに全て集中され、新たな電動ガラスサンルーフH300の発売が行われました。

ベバストは、各種自動車部品の製造を通じて創業以来の伝統と革新を融合させ、今後も自動車産業での重要なプレイヤーであり続けることでしょう。

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