ベル 427

ベル 427 (Bell 427)

ベル 427は、ベル・ヘリコプターとサムスン航空産業（現・韓国航空宇宙産業）が共同で開発した軽量双発多目的ヘリコプターです。ベル 407をベースとしており、その発展型であるベル 429に生産が移行しました。

開発の経緯

ベル・ヘリコプターは、ベル206シリーズの発展型をいくつか試みましたが、1980年代のベル 400とベル 440は開発中止となり、1990年代初期のベル206LTは生産数が限られました。ベル 407にアリソン250-C22Bエンジンを双発で搭載するベル407Tも計画されましたが、積載量と航続距離が不十分と判断され、中止されました。

その後、ベルはサムスン航空産業と提携し、新たな軽量双発ヘリコプターの開発を開始しました。1996年2月、ダラスのヘリエキスポでモデル427として発表されました。ベル427は、完全にコンピュータ上で設計された初の航空機でした。1997年12月11日に初飛行を行い、1999年11月19日にカナダ運輸省航空局（TCCA）、2000年1月に連邦航空局（FAA）から型式証明を取得しました。2000年5月には、FAAからパイロット2名乗務での計器飛行方式（IFR）での運航が許可されました。

ベル427の飛行システムはテキサス州フォートワースで、胴体とテールブームはサムスン航空産業（現・韓国航空宇宙産業（KAI））の韓国慶尚南道泗川市の工場で生産されました。最終組み立ては、ケベック州ミラベルのベルの施設で行われました。量産初号機は2000年1月に顧客に引き渡されました。

2004年には、ベルはKAIと三井物産エアロスペースと提携してベル427iを提案しました。KAIは胴体、キャビン配線、燃料システムの開発・生産を担当し、三井物産エアロスペースが資金調達を担当しました。ベル427iは、パイロット1名乗務での計器飛行方式による運航を可能にするため、新しいグラスコックピットとナビゲーションシステムを装備し、胴体を0.36メートル延長、エンジンとトランスミッションを強化、最大離陸重量を増加させる予定でした。しかし、427iの開発は中止され、ベル 429に移行しました。中止時点で427iは80機を受注していましたが、2005年2月にベル429に振り替えられました。ベル429の開発は遅れましたが、2007年2月27日に初飛行し、2009年から量産機の引き渡しが開始されました。2008年1月24日、ベルはベル427の生産終了を発表し、2010年までに受注済みの機体を生産後、ラインを閉鎖しました。

設計

ベル427は、FADEC付のプラット・アンド・ホイットニー・カナダPW207Dターボシャフトエンジンを双発で搭載しています。ベル407と同様に、リジット型の4ブレードメインローター、複合ロータハブ、2ブレードテールローターで構成されています。

ベル427のキャビンはベル407より32センチ延長され、主に複合構造で構成されています。キャビンは206シリーズから存在した屋根ビームが取り除かれ、スペースが拡大しました。オプションでスライドドアを装備できます。座席は2-3-3配置で、パイロットを含む8名が搭乗できます。航空救急向け仕様では、ストレッチャー2台と医療従事者2名を搭載可能です。

運用者

日本
新日本ヘリコプター
西日本空輸
アルゼンチン
エントレ・リオス州警察
チェコ
チェコヘリコプター救急サービス - Alfa Helicopter

諸元

乗員: 2名
定員: 8名（乗員含む）
全長: 11.42 m
全高: 3.20 m
ローター直径: 11.28 m
空虚重量: 1,760 kg
有効搭載量: 1,340 kg
最大離陸重量: 2,970 kg
動力: プラット・アンド・ホイットニー・カナダPW207D ターボシャフトエンジン × 2基

性能

最大速度: 259 km/h
巡航速度: 256 km/h
航続距離: 730 km
実用上昇限度: 3,048 m
* 上昇率: 10.16 m/s

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