ベルンハルト・クライン

ベルンハルト・クライン

ドイツの作曲家、ベルンハルト・クラインは、1793年3月6日にケルンで生を受け、1832年9月9日にベルリンでその生涯を終えました。彼は多岐にわたるジャンルで作曲活動を行い、特に教会音楽の分野で重要な足跡を残しました。

クラインの初期の音楽教育については、パリ音楽院で研鑽を積んだことが知られています。その後、故郷ケルンに戻り、ケルン大聖堂の音楽監督に就任しました。これは彼のキャリアの初期段階における重要な地位でした。

1819年、著名な音楽家カール・フリードリヒ・ツェルターの招きにより、クラインはベルリンへと居を移します。この移住が彼のその後の活動拠点となり、生涯をベルリンで過ごすことになります。ベルリンでは、1820年に王立教会音楽大学（Royal Institute for Church Music）の作曲科教授に任命されました。また、ベルリン大学の音楽監督も兼任し、教育者としても後進の指導にあたりました。

公的な教育機関での活動に加え、クラインはベルリンの音楽文化振興にも貢献しました。彼は友人であり音楽批評家でもあったルートヴィヒ・レルシュタープと共に、第2ベルリン歌曲評議会（Zweiten Berliner Liedertafel）の設立に携わっています。これは当時のドイツにおける男声合唱運動の一端を担う重要な組織でした。

クラインの家族関係も特筆すべき点です。彼はリリー・パルテイと結婚しました。リリーは1800年10月2日にベルリンで生まれ、1829年8月2日に亡くなっています。彼女はグスタフ・パルテイ（1798年生まれ、1832年没）の妹にあたり、著名な著述家フリードリヒ・ニコライの孫娘でもありました。ベルンハルトとリリーの間には娘エリザベート・クライン（1828年生まれ、1899年没）が生まれました。エリザベートは1846年7月5日に、後に著名なエジプト学者となるカール・リヒャルト・レプシウスと結婚しています。

彼の音楽作品は非常に多様です。教会音楽の分野では、オラトリオ、ミサ曲、マニフィカト、カンタータ、詩篇、聖歌、モテットなど、数多くの声楽曲を残しました。また、オペラは3作品を、さらに歌曲やピアノ曲も手掛けています。特にオペラとしては、ルートヴィヒ・レルシュタープの台本による「Dido」（1823年）、「Ariadne」（1824年）、そして「Irene」があります。オラトリオには「Jephtha」、「David」、「Hiob」、「Athalia」といった旧約聖書に基づいた主題の作品があります。

クラインの作曲スタイルは、アントン・ティボーからの影響を受け、比較的保守的であったとされています。彼は同時代の新しい音楽の潮流よりも、伝統的な形式や技法に基づいた作曲を行いました。

彼の楽譜は現在でも、Choral Public Domain Library (ChoralWiki) や国際楽譜ライブラリープロジェクト（IMSLP）を通じて入手可能であり、後世の研究者や演奏家によって彼の作品に触れることができます。

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