ベース (弦楽器)

ベース（Bass）とは

ベースとは、音楽において低音パートを担う弦楽器の総称です。楽器そのものを指す場合と、音楽におけるベースパートを指す場合があります。一般的に、ベースはチェロやギターよりも低い音域を担当し、音楽の土台となる重要な役割を担っています。

ベースの概要

本来、ベースの音域はチェロやギターの低音域に相当しますが、さらに1オクターブ低い音域をコントラバスやアップライトベースが担当します。これらの楽器は、しばしば「ベース」と略して呼ばれることもあります。ベースの音域は一般的にC2からC4とされています。また、ベースという用語は、楽曲の中で最も低い旋律を演奏する楽器群を指すこともあります。

例えば、弦楽合奏において、チェロが高音域で主旋律を担当し、ヴィオラやヴァイオリンがそれを支え、コントラバスが演奏していない場合、ヴィオラやヴァイオリンがベースパートを演奏しているとみなされることもあります。奏者は楽器で厳密に区別されることは少なく、単にベーシストと呼ばれることが一般的です。このことが混乱を招くこともあります。

ロックバンドなどで使用されるベースのほとんどはエレクトリックベースですが、ジャズなどでは、エレクトリックジャズやジャズロックが登場する以前はコントラバスが使用されていました。現在でも、両方を使い分ける奏者が多く存在します。ヴィオローネやマンドローネ、バスガンバなどは、使用されるジャンルが限られているため、楽器名で呼ばれることが多いです。

エレクトリックベースは、1930年代にプル・タットマークによって開発され、レオ・フェンダーによって大量生産されるようになりました。

弦楽器としてのベース

ベースは、一般的にチェロやギターよりも1～2オクターブ低い音域を持つ楽器です。楽器の種類には、コントラバス、ギタロン・メキシカーノ、トロロッシュ、バスバンジョーなどがあります。弦の数は4～5本が主流ですが、それより少ないものや多いもの、副弦を持つベースも存在します。チューニングも様々です。一般的に、ネックはチェロやギターよりも長く、弦は太いです。しかし、弦楽器の音域を決定する要因は弦の長さや太さだけではないため、必ずしもチェロやギターの低音弦よりも長く太い弦が張られている必要はありません。演奏や運搬の都合を考慮して、楽器を小さく設計したものも存在します。

ベースと呼ぶ場合、コントラバスかエレクトリックベースのどちらかを指すことが多いですが、構造は「電気的に増幅することを前提として設計されているか否か（エレクトリックかアコースティックか）」、「ネックを垂直に近く構えることを前提として設計されているか否か（アップライトかホリゾンタルか）」の組み合わせで大まかに4つに分けられます。

アコースティックかつアップライト

クラシック音楽やジャズなどで使用されるコントラバスは、アコースティックベース、アップライトベース、またはウッドベースとも呼ばれます。コントラバスには他にもさまざまな呼び方があります。ヴィオローネ、マンドローネ、バスガンバなどもこの分類に当てはまります。

エレクトリックかつアップライト

一般的にエレクトリックアップライトベースと呼ばれ、エレクトリックベースから派生した楽器です。ポップス系の音楽で使用されることが多く、弓弾きには対応していません。しかし、ネックや指板、ブリッジの形状はコントラバスに似ており、フレットレスで、奏法もコントラバスに近い技術を必要とします。電気的に音を増幅するため、音量に関する制約が少なく、共鳴箱を最小限にするか、全く備えていないものもあります。コントラバスから派生したモデルも存在し、こちらは弦長が長く、弓弾きが可能なブリッジを持つことが特徴です。

アコースティックかつホリゾンタル

アコースティックベースが代表的で、アコースティックギターとほぼ同じ構造をしています。エレクトリックベースとほぼ同じ長さや形状のネックを持ち、演奏法もエレクトリックベースとほぼ同じです。

エレクトリックかつホリゾンタル

エレクトリックベースがほとんどで、ベースギター、エレキベースなどとも呼ばれます。プレシジョンベースがその草分けで、フレット付きであるため正確な音階を出すことができます。フレットのないものもあり、フレットレスベースと呼ばれます。楽器本体内部に共鳴箱を持たないソリッドボディのものが一般的です。

その他のベース

芸術ユニットの明和電機は、ゴムを弦にしたフレットレスベース「ゴムベース」を製作し、楽曲演奏に使用しています。また、スピーカー内蔵でコンパクトに収納できるモデルを市販化したり、ボディをエレキベース風にした「ゴムベースII」も製作しています。

弦楽器以外のベース

バスはオペラの男性低音歌手を指します。ソウルやドゥーワップでは、ベースシンガーと呼ばれます。また、バスクラリネット、バストロンボーン、バスサキソフォンなどの低音楽器もベースホーン楽器と呼ばれます。

その他、シンセベースなどのキーボードベースや、パイプオルガンなどの低音ペダルボード、ウォッシュボード・タブベースなどもベースとみなされることがあります。