ペイトン (アゲノルの子)

ペイトンの生涯と業績

ペイトン（Πείθων）は、紀元前の歴史に名を残したマケドニアの将軍であり、アレクサンドロス3世（大王）の忠実な家臣の一人です。彼の生涯は、王の東方遠征とその後のディアドコイ時代における重要な出来事で彩られています。今回は、ペイトンの活動を中心に、彼の業績や歴史的背景を深掘りします。

アレクサンドロス大王の下での活動

ペイトンはアゲノルの子として生まれ、アレクサンドロス大王の指揮下での東方遠征に参加しました。彼が歴史に登場するのは紀元前327年のインド遠征の際です。この遠征で、ペイトンは「アステタイロイ」と称される歩兵部隊を指揮し、その戦術や勇敢さで部隊を率いました。

紀元前325年には、アレクサンドロスからインダス川とアケシネス川の合流点から海辺に広がる地域の太守に任命され、その地位を紀元前316年まで維持しました。この役職において、ペイトンは地元の王ムシカノスによる反乱を鎮圧し、彼を捕らえるという功績を残しました。また、アレクサンドロスがインダス川を遡る際には、彼は投槍騎兵とアグリアネス人部隊を指揮し、戦略的に重要な役割を果たしました。

アレクサンドロス死後のバビロン会議

アレクサンドロスの死後、紀元前323年に行われたバビロン会議において、ペイトンは引き続きその権限を保持しました。紀元前321年にはガンダーラの太守となり、その治世を続けました。しかし、紀元前317年には同名のメディア太守ペイトンがパルティアに侵攻した際、彼はペルシス太守ペウケスタスの統率する連合軍に敗北を喫しました。ガンダーラの太守として彼もこの連合に参加していました。

アンティゴノスの元へ

その後、ペイトンはディアドコイの指導者アンティゴノスの配下に入ることとなります。紀元前316年には、アンティゴノスによってバビロニアの太守に任命されました。彼はこの地での政治的および軍事的な役割を果たし、アンティゴノスの息子デメトリオスを補佐する形で、紀元前314年以降に勃発したカッサンドロスやプトレマイオスとの戦闘に従事しました。

最後の戦いと戦死

紀元前312年になると、アンティゴノスの領土であったシリアに対しプトレマイオスが侵攻します。この際、ペイトンはデメトリオスと共に迎撃に向かうことになります。しかし、ガザでの戦闘でデメトリオス軍は敗北し、ペイトンはこの戦いで命を失いました。彼の短い生涯は、栄光と悲劇に満ちた物語として、後の歴史に語り継がれています。

参考文献

• - アッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』大牟田章訳、岩波文庫、2001年
• - ディオドロス『アレクサンドロス大王の歴史』森谷公俊訳註、河出書房新社、2023年

最後に、ペイトンの生涯は、アレクサンドロスの影響下での戦争と政治の激動の中で展開され、彼の業績は歴史の重要な一ページを彩るものでした。

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