ペーシュワー

ペーシュワーとは

ペーシュワー（Peshwa）という称号は、インドのデカン地方に位置するマラーター王国における宰相を指します。この語はペルシア語に由来し、「先導者」や「指導者」を意味しますが、マラーター王国では特に宰相の役職に使われるようになりました。

歴史的背景

ペーシュワーの制度は、1684年にシヴァージーによって設立されたマラーター王国の政治体制の一部として誕生しました。シヴァージーは八大臣制度を整備し、その中で最も権威のある職位として宰相が設けられました。この八大臣の中には、財務長官や書記長官、軍事長官などが含まれ、各々が国の運営を支えていました。宰相は最も高い地位にあり、王国の国政において大きな影響力を持つ存在でした。

マラーター王国の宰相ペーシュワーという役職の歴史的意義が増すのは、1713年にバーラージー・ヴィシュヴァナートがその職に就いた時からです。彼はシャーフー王の即位を支援し、ペーシュワーの地位を重要なものとして確立しました。さらに、彼はその後自身の息子にこの職を世襲させ、ペーシュワー朝という世襲制の王朝に発展させました。

ペーシュワーの発展と業績

バーラージー・ヴィシュヴァナートの死後、その息子バージー・ラーオが権力を握り、彼の治世のもとでマラーター王国は大きく発展しました。バージー・ラーオは国家の統治を一手に掌握し、マラーター同盟の盟主として君臨しました。彼は地域の諸侯たちと封建的な関係を築き、領地を認めてもらう代わりに忠誠を誓わせるという独特の仕組みを作り上げたのです。また、プネーにシャニワール・ワーダーという自身の拠点を設け、政治と軍事の中心地として利用しました。

バージー・ラーオの死後、彼に代わってバーラージー・バージー・ラーオが宰相となります。彼もまた国の全権を持つ権力持ちとして機能し、1749年のシャーフーの死後には、国家の運営をさらに強化することに成功しました。行政府も彼の拠点であるプネーへと移転しました。

1761年の第三次パーニーパトの戦い以降は、王国にとって分水嶺とも言える時期を迎えます。この戦いでバーラージー・バージー・ラーオが急死すると、彼の息子マーダヴ・ラーオが後を継ぎます。彼は王国の権威を保持するものの、1772年にその生涯を閉じることになります。

その後、ナーラーヤン・ラーオが宰相に就任しますが、1773年には彼を叔父が殺害し、再び権力が移動する混乱が続きます。けれども、ナーラーヤン・ラーオには息子が生まれ、その後モーダヴ・ラーオ・ナーラーヤンに宰相職が引き継がれました。

最後のペーシュワー

1818年、第三次マラーター戦争が勃発します。この戦争の結果、ペーシュワーの家系は消滅し、最後の宰相であるバージー・ラーオ2世はイギリスにより廃位されてしまいます。彼はその後、年金生活者として過ごすこととなります。

ペーシュワーという称号のもと、多くの歴代宰相がインドの歴史において重要な役割を果たし、マラーター王国の成長と衰退に深く影響を与えました。彼らの存在は、今でもインドの歴史において光を放つ重要なファクターであり続けています。

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