ホットスポット (地学)

ホットスポットとは

ホットスポットとは、プレートの下にあるアセノスフェアに起源を持つと考えられている、マグマによる火山活動が起きている場所のことです。マントル内部から上昇してくるマグマによって火山活動が起こります。

ホットスポットの成因

ホットスポットは、マントル内の上昇流であるホットプリュームが地表に現れたものと考えられています。海洋プレートは沈み込み帯でマントル内に入り、スラブとなります。しかし、深度670kmよりも深いマントルでは、スラブは周囲より比重が軽くなり、滞留します。この滞留したスラブの一部は、密度を増して下降流となり、下部マントルへと沈んでいきます。この下降流が対流を引き起こし、核に近い高温のマントルが上昇してホットプリュームが発生します。

大規模なホットプリュームは、中央海嶺を形成し、新たな海洋プレートの成因となります。一方、小規模なホットプリュームは、プレートの動きとは独立した熱源として留まり、ホットスポットとなります。ホットスポット上のプレートには、プレートの動きに沿った火山列が形成されます。

ホットスポットの地球科学的な意味

ホットスポットは、マントル内部のプリュームテクトニクスが地表に現れたものであるとともに、プレート運動の証言者でもあります。ホットスポットの代表例として、ハワイ諸島と天皇海山群が挙げられます。これらの火山列は、北から順に古い火山が並んでおり、ホットスポットの軌跡を示しています。地球上には、このようなホットスポットの軌跡が約20ヶ所存在すると考えられています。これらの軌跡は、プレートの動く方向とほぼ一致しており、プレートの動きを解明する上で重要な役割を果たしています。また、ホットスポットによって形成された海底火山が、プレートの移動によって運ばれ、海山となったことも証明されています。

ホットスポットの主な場所

ホットスポットは、大陸の移動には影響されないと考えられていますが、プレート内部で多く発生した結果として、大陸移動の契機になり得るとも考えられています。ホットスポットができると、プレートには放射状に割れ目ができ、それが中央海嶺の成因になることがあります。現在の大西洋中央海嶺や、アフリカ大地溝帯も、ホットスポットと関係があると考えられています。

ホットスポットの例

ホットスポットは世界中に点在しています。以下に主なホットスポットの例を示します。

アメリカ
イエローストーン（イエローストーン・ホットスポット）
Anahim Volcanic Belt（Anahim hotspot）
Mackenzie dike swarm（Mackenzie hotspot）
Great Meteor hotspot track（en:New England hotspot）
太平洋
ハワイ諸島＝天皇海山群（ハワイ・ホットスポット）
Kodiak–Bowie Seamount chain（Bowie Seamount）
Cobb–Eickelberg Seamount chain（Cobb hotspot）
オントンジャワ海台（ルイビル・ホットスポット）
タヒチ島及びその付近（ソサエティー・ホットスポット）
ガラパゴス諸島（ガラパゴス・ホットスポット）
カロリン諸島（カロリン・ホットスポット）
イースター島（イースター・ホットスポット）
マルケサス諸島（マルケサス・ホットスポット）
サモア（サモア・ホットスポット）
オーストラル諸島（マクドナルド・ホットスポット）
ホアン・フェルナンデス海嶺（ホアン・フェルナンデス・ホットスポット）
トゥアモトゥ諸島（ピトケアン・ホットスポット）
インド洋
Mascarene Plateau＝Chagos-Laccadive Ridge（レユニオン・ホットスポット）
東経90度海嶺（Kerguelen hotspot）
アフリカ
アフリカ大地溝帯
St. Helena Seamount chain＝カメルーン火山列
ビオコ島（赤道ギニア）
サントメ・プリンシペ
アンノボン島（赤道ギニア）
大西洋
アイスランド（アイスランド・ホットスポット）
アゾレス諸島（アゾレス・ホットスポット）
アセンション島（アセンション・ホットスポット）
Walvis Ridge及びトリスタン＝ダ＝クーニャ諸島（トリスタン・ホットスポット）
カナリア諸島（カナリア・ホットスポット）
カーボベルデ（カーボベルデ・ホットスポット）
セント・ヘレナ島（セント・ヘレナ・ホットスポット）
en:New England Seamount chain（en:New England hotspot）
南極
エレバス山（エレバス・ホットスポット）

ホットスポットの種類と形状

ホットスポットには、いくつかの種類と形状があると考えられています。

ホットスポットの種類

タヒチ型：下部マントルのスーパープリュームが直接地表に現れたもの。
ハワイ型：スーパープリュームの影響を受けつつ、上部マントルの第3次ホットプリュームが表出したもの。

これらの違いは、地震波トモグラフィーの画像や、火山噴出物の違いから確認できます。ハワイで噴出する玄武岩は、浅い場所と深い場所のマントル物質の混合物である一方、タヒチの玄武岩は、より深いマントルの物質であると考えられています。

ホットスポットの形状

ハワイ型：断続的にマグマが吹き上げる。
オントンジャワ型：スーパープリュームが大規模に熔岩を噴出し、巨大な海台を形成する。
ナウル海盆型：ハワイ型とオントンジャワ型の中間で、数回にわたって多量の物質を噴出する。
中部太平洋海山列型：マグマが散在的に噴き上げ、海底火山や海山を形成する。
東経90度海嶺型：連続的にマグマが吹き上げる。


ホットスポットは、地球内部のダイナミックな活動を理解する上で重要な手がかりとなります。

もう一度検索