地溝

地溝とは

地溝（ちこう）とは、地殻における断層運動によって形成される特殊な地形です。具体的には、ほぼ平行に走る複数の断層によって区切られ、その間に挟まれた地盤が沈降することで、峡[[谷]]のような形状を成します。この地形は、侵食によって形成された谷とは異なり、主に正断層の活動が原因で発生します。

地溝は、地溝帯やリフト（rift）とも呼ばれることがあり、リフトバレー（裂谷）は広義の地溝を指す言葉として使われます。特に、プレートが拡大する境界で形成されるものを指すことが多いですが、地溝全般を指す場合もあります。

地溝の形成

地溝は、地殻に水平方向の伸張力が働くことで形成されます。この力が加わると、地殻には正断層が発達し、複数の断層がほぼ平行に形成されることで、その間の地塊が沈降します。その結果、峡[[谷]]状の地形が現れ、その側面は断層崖となります。一方、沈降せずに残った山地や台地は、地塁（ホルスト）と呼ばれます。

断層は2本だけでなく、複数形成されることもあります。その場合、崖には段差ができ、特に大地溝帯では、この現象が顕著に見られます。東アフリカの大地溝帯は、ホットプリュームによってマグマが噴出し、両側に押し広げる力が働くことで陥没し、南北に連なる巨大な地溝帯を形成しました。この地域では火山活動も活発です。

また、日本のフォッサマグナの例では、フィリピン海[[プレート]]の沈み込みによって伊豆半島が日本列島に衝突した際に、日本列島が中央部で折れて曲げられ、その応力部が地溝となりました。その後、堆積物によって峡[[谷]]部が埋められ、現在の地形が形成されました。

地溝は、細長い溝状の地形であれば、成因に関わらず呼ばれることがあり、地中に埋没して地表から確認できない場合もあります。このような地溝は、地質調査などによってその位置が推定されます。

地溝に伴う地形

地溝には、様々な地形が伴います。

地溝盆地

地溝によって形成される盆地は、地溝盆地と呼ばれます。日本では、伊那盆地、諏訪盆地、松本盆地などがその例です。

地溝湖

断層運動によって窪地にできる湖は断層湖と呼ばれますが、地溝にできたことを明確にしたい場合は地溝湖と呼ばれます。諏訪湖、タンガニーカ[[湖]]、バイカル湖などがその代表例です。

窪地

特に落差が激しい地溝は、窪地となり、海面下まで陥没することがあります。死海やヨルダン渓谷などがその例です。

主な地溝

以下に、世界各地の主な地溝を挙げます。

ウヴス・ヌール盆地（モンゴル・ロシア）
ゴーダヴァリー川のゴーダヴァリー峡[[谷]]（インド）
コリンティアコス湾（ギリシャ）
サグネ川のサグネ峡[[谷]]（カナダ）
スペリオル[[湖]]地域（アメリカ合衆国）
スペンサー湾（オーストラリア）
大地溝帯（アフリカ・西アジア）
東リフト・バレー
西リフト・バレー
ニアサ・リフト・バレー
ティミスカミング湖地域（カナダ）
デスヴァレー（アメリカ合衆国）
ナルマダー川のナルマダー峡[[谷]]（インド）
西南極地溝（南極）
ニューマドリッド地震帯（アメリカ合衆国）
バイカル湖地域（ロシア）
ハウラキ平原とハウラキ湾（ニュージーランド）
バルハシ湖地域（カザフスタン）
フォッサマグナ（日本）
フブスグル湖地域（モンゴル）
ベイスン・アンド・レンジ（アメリカ合衆国、メキシコ）
別府-島原地溝（日本）
ボストーク湖地域（南極）
ムベレ地溝（サントメ・プリンシペ、カメルーン、ナイジェリア、チャド）
ライン川のライン峡[[谷]]（フランス、ドイツ）
リオ・グランデ川のリオ・グランデ峡[[谷]]（アメリカ合衆国）

地球以外の地溝

地球以外にも、地溝に類似した地形が確認されています。

アリアデウス谷（月）
マリネリス峡[[谷]]（火星）

関連事項

リフト (地質)
地塁
海溝
海嶺
峡[[谷]]
地峡

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