ホンダ・DN-01

ホンダ DN-01：独創的なスポーツクルーザー

DN-01は、本田技研工業が2008年から2010年にかけて製造・販売していた大型自動二輪車です。その車名は、「Discovery of a New Concept」の略で、その名の通り、オートバイの概念を革新するモデルとして登場しました。

独創的なデザインと機構

スタイリッシュなデザインは片桐潔氏によるもの。スクーターのような車体デザインでありながら、前後17インチのタイヤと低いシート高によるスポーティな走行性能を両立させています。快適なライディングポジションとスポーティな走り、一見相反する要素を見事に融合させた点がDN-01の特徴と言えるでしょう。

搭載されているのは、680ccの水冷4ストローク4バルブSOHC狭角V型2気筒エンジン。燃料供給にはPGM-FI電子制御燃料噴射装置を採用し、効率的な燃焼を実現しています。

しかし、DN-01の真骨頂は、そのトランスミッションにあります。ホンダ独自の技術を駆使して開発されたロックアップ機構付き油圧機械式無段変速機HFT（Honda Fully Automatic Transmission）は、従来のオートマチックトランスミッションとは一線を画す革新的な機構です。スクーターなどで採用されるVベルト式ATと異なり、油圧制御とコンピューター制御による精密な制御を可能としています。

ライダーは、「Dモード」（一般走行用）、「Sモード」（スポーツ走行用）、そして6速マニュアルモードから走行モードを選択できます。このHFTの採用によって、車体レイアウトの自由度が高まり、独特のデザインを実現できたと言えるでしょう。

また、動力伝達にはシャフトドライブ、後輪には片持ち式スイングアーム「プロアーム」を採用するなど、技術面でも先進的な要素が盛り込まれています。

販売と生産終了

DN-01は、2007年の東京モーターショーで参考出品され、大きな話題となりました。その後、2008年3月に日本国内で発売。欧州では2008年、北米では2009年から販売されましたが、2010年末に生産を終了しました。

日本国内では、独自の整備システムとHMD-Key（ホンダ・モーターサイクル・データキー）による整備履歴管理システムを導入したため、DREAM店でのみ販売されました。

DN-01の遺産

販売期間は短かったものの、DN-01はオートバイ業界に大きな影響を与えました。その革新的なデザインと技術は、後のオートバイ開発にも活かされていると言えるでしょう。独特の個性と希少性から、現在ではコレクターアイテムとしての価値も高まっているようです。

DN-01は、ホンダの挑戦と革新の精神を象徴するモデルとして、オートバイの歴史に刻まれた一台と言えるでしょう。

関連車種

DN-01の開発に関連する、あるいは類似の技術を持つ車種として、XL700V Transalp、ホンダ・ジュノオ、ホンダ・CB750A EARA、ホンダ・ブロス、ホンダ・VFR1200Fなどが挙げられます。また、仮面ライダーディケイドに登場するマシンディケイダーのベース車両としても知られています。

もう一度検索