ホー (潜水艦)

アメリカ海軍のガトー級潜水艦、ホー（USS Hoe, SS-258）は、その艦名を農具の「鋤（くわ）」に由来します。また、鼻先の形からアブラツノザメ、あるいはプランクトンを食べる様子からウバザメを「Hoe」や「Hoe mother」と呼ぶ慣習がありましたが、アメリカの公式記録ではツノザメが由来とされています。

艦歴

ホーはコネチカット州グロトンのエレクトリック・ボート社で建造が始まり、1942年9月17日にヘレン・ヘス夫人によって進水しました。ヴィクター・B・マクレア中佐（アナポリス1932年組）を艦長として、12月16日に就役。整調訓練を終えた後、1943年4月19日に出航し、パナマ運河を経て5月15日に真珠湾に到着しました。

戦時哨戒

第1、第2の哨戒 (1943年5月 - 10月)

最初の哨戒は5月27日、パラオ方面へ向かいました。グアム近海を経て哨戒区域に入り、輸送船団の出現を待ちます。6月14日午後には輸送船と護衛艦を発見し、追跡の末、翌6月15日に魚雷3本を発射、1本が命中したと判断されました。さらに6月21日夜にも魚雷4本を発射し、3本が命中して目標を撃沈したと記録しています。ウルシー環礁の偵察も行い、7月11日に真珠湾へ帰投しました。

続く2回目の哨戒は8月21日にトラック諸島近海を目指しましたが、艦はH.O.R.エンジンの不調に苦しみます。8月29日には高速で航行する護衛艦を発見し、魚雷4本を発射。1本は命中しましたが、爆発は確認できませんでした。9月22日にはタンカーを発見し、魚雷6本を発射して2本が命中したと判断しましたが、目標はスコールに紛れて姿を消しました。9月30日から10月1日にかけても輸送船団を攻撃しましたが、魚雷は命中しませんでした。10月8日から9日にかけては、ウェーク島攻撃で撃墜された航空隊員の捜索にも参加。10月18日に真珠湾へ帰還後、メア・アイランド海軍造船所で大規模な修理と、信頼性の低いH.O.R.エンジンをGM社製の新型エンジンに換装しました。

第3、第4、第5の哨戒 (1944年1月 - 8月)

3回目の哨戒は1944年1月26日に始まり、ミンダナオ島、ハルマヘラ島方面で作戦を展開しました。2月16日夜、6隻の輸送船団を発見し、合計10本の魚雷を発射、複数の命中と爆発音を確認しました。2月25日未明にはダバオ湾入り口付近で特設運送船「日章丸」「国洋丸」、特設運送艦「旭東丸」からなる船団と護衛の駆逐艦「島風」「雷」を発見。ホーはタンカーに向けて魚雷を発射し、「日章丸」を撃沈、「旭東丸」にも損傷を与えました。3月5日にフリーマントルに帰投しました。

4月4日からの4回目の哨戒では南シナ海へ。5月8日朝、ルソン海峡でヒ61船団を発見し、大型輸送船とタンカーに向けて魚雷を発射。タンカー「あかね丸」に命中弾を与え損傷させました。5月17日には別の輸送船団を発見し、夜間に攻撃を決行。他の味方潜水艦も発見し、複雑な状況下で魚雷攻撃を実施、複数の命中弾を得た模様です。5月19日夜にも輸送船団を攻撃し、翌20日にかけて魚雷合計10本を発射、複数の爆発音と命中を確認しました。ダーウィンに寄港後、6月2日にフリーマントルへ帰還しました。

5回目の哨戒は6月29日に始まり、再び南シナ海へ。ダーウィンを経由して哨戒区域に入りましたが、目標への攻撃は成功しませんでした。7月20日朝、ヒ69船団を発見し、魚雷4本をタンカー「天栄丸」に向けて発射しましたが命中せず。7月25日には潜水艦「伊29」と思われる艦に対し魚雷6本を発射しましたが、これも命中しませんでした。この哨戒では戦果を挙げられず、8月23日にフリーマントルへ帰投しました。

第6、第7の哨戒 (1944年9月 - 1945年1月)

6回目の哨戒は9月15日、カブリラ、アスプロと共にウルフパックを編成しルソン島方面へ。10月7日未明、タマ28船団を発見し魚雷攻撃で陸軍輸送船「マカッサ丸」を撃沈したと記録しました。翌10月8日未明には別の輸送船団を発見し魚雷を発射、命中弾を確認。同日夜にはマタ28船団を発見し、複数の魚雷攻撃により陸軍輸送船「湖北丸」を撃沈しました。10月22日にフリーマントルへ帰投。艦長がマイルズ・P・レィフォ3世少佐（アナポリス1938年組）に交代しました。

7回目の哨戒は11月23日、フラッシャー、ベクーナとのウルフパックで南シナ海へ。12月2日未明にはタンカーを発見し魚雷攻撃、命中弾を確認しました。しかし、その後のタンカーへの攻撃は命中せず。1945年1月1日朝には南鑰島に対し艦砲射撃を実施しました。1月13日にフリーマントルへ帰還しました。

第8の哨戒 (1945年2月 - 3月)

8回目の哨戒は2月8日、南シナ海へ向かいました。フラウンダーと合流し、日本本土へ向かう完部隊を追跡しましたが、捉えることはできませんでした。2月23日朝、インドシナ半島沖で潜望鏡深度で航行中にフラウンダーと接触し、キールを損傷しましたが、任務続行可能と判断し修理して海南島方面へ向かいました。2月24日午後、南号作戦のヒ92船団を発見。追跡後、翌2月25日未明に魚雷を発射し、海防艦「昭南」を撃沈しました。2月27日には座礁したタンカーへの攻撃を試みましたが命中せず。3月26日、サイパン島のタナパグ港へ帰投後、本国へ回航されオーバーホールに入りました。

戦後

ホーはオーバーホール完了後の7月5日に西海岸を出港し、終戦時はグアムのアプラ港に停泊していました。数日後に東海岸へ向かい、真珠湾、パナマ運河を経て1945年9月29日にニューヨークに到着。その後ニューロンドンへ回航され、1946年8月7日に退役し、大西洋予備役艦隊に編入されました。1956年9月からは海軍第3管区の予備役訓練艦として使用されましたが、1960年5月1日に除籍され、8月23日にマサチューセッツ州ボストンのラネット社に売却され、その艦生を終えました。

ホーは第二次世界大戦の戦功により、計7個の従軍星章を受章しました。特に第1、第3、第4、第6、第8回目の哨戒は成功した作戦として記録されています。

もう一度検索