ボナヴィスタ

ボナヴィスタ：イギリスとハンガリーを繋いだサラブレッドの成功物語

ボナヴィスタ (Bona Vista) は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したイギリスのサラブレッド競走馬であり、優れた種牡馬としても名高い存在です。1892年の2000ギニーステークス制覇という輝かしい現役時代を経て、ハンガリーでさらに大きな成功を収めたその生涯は、サラブレッドの歴史において特筆すべきものと言えるでしょう。

華麗なる現役時代：2000ギニーステークス制覇

ローズベリー伯の所有馬として誕生したボナヴィスタは、ダービーステークス優勝馬ベンドアを父、グレートメトロポリタンハンデキャップ優勝馬ヴィスタを母に持ちます。ヴィスタはマカロニの産駒であり、ボナヴィスタはベンドアとマカロニのクロス（ニックス）によって生まれた馬でした。この組み合わせは、ケンダールやオーモンドといった名馬も輩出しており、成功の秘訣として関係者の間で知られていました。

2歳から競走生活を開始したボナヴィスタは、若くしてウッドコートステークスを制覇。3歳時には、名手ウィリアム・ロビンソン騎手とのコンビで、イギリスクラシック三冠競走の一つである2000ギニーステークスを優勝するという快挙を達成しました。

種牡馬としての成功：ハンガリーリーディングサイアーの栄光

1894年に種牡馬となったボナヴィスタは、1897年にオーストリア＝ハンガリー帝国の皇子ルイス・エステルハージに購入され、ハンガリー国立牧場へと移籍します。この地でボナヴィスタはイギリス時代をはるかに凌ぐ成功を収め、1902年から1905年、そして1908年の5度にわたってハンガリーリーディングサイアーの称号を獲得しました。

ボナヴィスタの成功を象徴する産駒として、イギリス時代に生まれたシリーンが挙げられます。クラシック登録がなかったため三冠競走には出走できませんでしたが、アスコットゴールドカップなど主要競走を制し、圧倒的な強さで11戦9勝という素晴らしい戦績を残しました。シリーン自身は種牡馬としては当初は評価されませんでしたが、後にダービー馬を3頭輩出し、アルゼンチンで成功を収めたのち、その血統は父ボナヴィスタと同様に、海外で花開きました。さらに、シリーンの産駒ポリメラスが種牡馬として大成功を収めたことで、ボナヴィスタの父系は現在まで受け継がれているのです。

ボナヴィスタは母父としても大きな功績を残しました。イギリスに残された産駒の中から、ヴァーレンはザテトラーク、ローズツリーはアメリカ殿堂馬ローマーの母となりました。これらの馬たちが繋いだ血統は、現代競馬にも大きな影響を与えています。

代表産駒：イギリスとハンガリーで活躍した名馬たち

ボナヴィスタは多くの優秀な産駒を輩出しました。イギリス時代には、アスコットゴールドカップなどを制したシリーン、テューローステークスなどを制したローズツリーなどが活躍しました。ハンガリー時代には、オーステライヒシスダービーやドイチェスダービーといった重要な競走を制したBeregvorgy、Bono Modo、Orientなど、数々の名馬が誕生しました。

ボナヴィスタの遺産：現代競馬への貢献

2000ギニーステークス優勝馬としての輝かしい現役時代、そしてハンガリーにおける種牡馬としての圧倒的な成功。ボナヴィスタは、競走馬としても種牡馬としても稀有な成功を収めたサラブレッドでした。その血統は、シリーン、ポリメラス、ザテトラーク、ローマーといった名馬を通して現在も世界中の競馬界に影響を与え続けています。ボナヴィスタの偉業は、サラブレッドの歴史に永遠に刻まれることでしょう。

母ヴィスタはサーヴィスト(1895年ダービーステークス・セントレジャーステークス優勝)、ヴェラスケス(チャンピオンステークス連覇など)といった活躍馬も輩出しており、優秀な繁殖牝馬であったことも特筆すべき点です。ボナヴィスタの血統は、単なる競走馬の成功という枠を超え、サラブレッドの歴史に大きな足跡を残したと言えるでしょう。

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