ボラ科

ボラ科：多様な種類と生態

[ボラ]]科(Mugilidae)は、ボラ目]に属する[[魚類の分類群です。ボラ、メナダなど、約72種が知られています。熱帯から温帯の海に広く分布し、一部は亜寒帯や汽水域、淡水域にも生息します。多くは食用にされ、熱帯地域では盛んに養殖されています。

形態と生態

ボラ科の魚は、細長い円筒形で、体長は数cmから最大1.2mに達する種もいます。目は大きく、種類によってはコンタクトレンズ状の構造である「脂瞼」に覆われています。口は小さく、歯は小さいか、ない場合もあります。雑食性で、プランクトン、藻類、デトリタスなどを食べます。消化管は長く、胃壁の筋肉が発達しています。

ヒレは比較的小さく、遊泳能力が高いです。背びれは2つに分かれ、間隔が大きいです。第1背びれは4本の棘条、第2背びれは8～10本の軟条で構成されます。胸びれは体の高い位置に、臀びれは腹部に位置します。側線は発達が弱く、鱗には感覚孔があります。多くの種の成魚は櫛鱗で覆われています。

卵は脂肪分の多い分離性浮遊卵で、親による保護はありません。仔魚は卵黄を吸収した後、沿岸域に移動して生活します。

分類と系統

ボラ科は17属に分類され、その分類体系は研究者によって異なっています。近年ではボラ目の中で最も原始的なグループとみなされていますが、スズキ目やトウゴロウイワシ目など他の目との関係については議論が続いています。

代表的な属には、[ボラ]]属(Mugil)、メナダ属(Chelon)、クチボソボラ属(Neomyxus)などがあります。ボラ属には[[ボラ]など、多くの種が含まれます。

日本産ボラ科魚類

日本には少なくとも7属15種のボラ科魚類が生息します。ボラ、メナダ、セスジボラは全国的に分布しますが、他の種は暖流の影響が強い地域に多く分布しています。

主な日本産種:

[ボラ]: 全長60cmに達し、脂瞼が発達しています。世界中の熱帯・温帯に分布。
メナダ(Chelon haematocheila): 全長100cmに達する大型種。脂瞼の発達が弱く、頭部が尖り、目や唇に赤みがあります。
セスジ[ボラ]: 背中に隆起線があります。全長約30cm。
コ[ボラ]: 体が太短く、脂瞼がありません。全長約30cm。
フウライ[ボラ]: 上唇が厚く、胸鰭基部に黒点があります。全長約60cm。
オニ[ボラ]: 胸鰭が黒く、臀鰭と尾鰭は黄色みを帯びています。全長約55cm。
カマヒレ[ボラ]: 第2背鰭が鎌のように伸びます。全長約50cm。

参考文献

『野外観察図鑑 4 魚』 旺文社
『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』 講談社
Nelson JS, Fishes of the World (4th ed), New York, John Wiley & Sons INC
上野輝彌・坂本一男 『新版 魚の分類の図鑑』 東海大学出版会
岡村収・尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社
* 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海 編・監修 『日本の淡水魚 改訂版』 山と溪谷社

もう一度検索