ポチョムキン＝タヴリーチェスキー公 (戦艦)

ポチョムキン＝タヴリーチェスキー公

ポチョムキン＝タヴリーチェスキー公（ロシア語: Князь Потёмкин-Таврический、クニャースィ・パチョームキン・タヴリーチェスキイ）は、ロシア帝国海軍の戦艦であり、その名は「ポチョムキン公爵」に由来しています。もともとは艦隊装甲艦（Эскадренный броненосец）として設計され、後に戦列艦（Линейный корабль）として分類されることになりました。この艦は、1905年のロシア第一革命の際に水兵による叛乱が発生し、その名は世界中に知られることとなりました。特に「ポチョムキン」という愛称で広く知られています。

概要

ポチョムキンの設計は、セヴァストーポリ軍港のアレクサンドル・ショット艦船技師によって指揮されました。この艦は、以前のトリー・スヴャチーチェリャを基に、イギリスのマジェスティック級戦艦に似た装甲装備が取り入れられています。従来の装甲板から軽量の装甲板へと変更を行い、重さを大幅に軽減しました。この結果、搭載できる中間砲の数が増え、その他の防御装甲も強化されました。また、ロシア海軍初の液体燃料を使用するボイラーを搭載した艦ともなりました。

艦の計画排水量は12,480トンですが、建造の過程で実際の排水量は12,900トンに達しました。3グループに分かれた蒸気ボイラーからの高圧蒸気で動く2基の3段膨張型レシプロ機関により、最高速力16.7ノットを発揮しました。巡航速度のときの航続距離は3,600海里で、長期間の作戦にも対応できる設計がなされています。

武装と防御

ポチョムキンの主砲には「Pattern 1895 30.5 cm砲」が採用され、その射程は14,640メートルに達しました。2基4門を備え、砲塔は最大254ミリメートルの装甲で防護されています。副砲には「Pattern 1892 15.2 cm速射砲」が8基ずつ両舷に搭載され、さらに小口径砲や機関銃、魚雷発射管も装備されていました。

防御に関しては、艦の舷側や上部構造に装甲が施され、水平甲板には傾斜装甲が取り付けられています。装甲厚は中間部で229 mmに強化され、特に主砲塔には254 mmの防護が施されています。これらの特徴からポチョムキンは当時のロシア艦艇の中でも強力な存在でした。

艦歴

ポチョムキンは1897年に黒海艦隊に登録され、1898年にニコラーエフで建造が開始されました。1905年には竣工し、その後すぐに水兵たちによる大規模な叛乱が発生しました。原因は、艦の指揮官が不満を持った水兵に対して懲罰を加えようとしたことに端を発しました。この叛乱は、テーンドル湾で実施された射撃試験中に発生し、艦の掌握を試みる水兵たちが武装蜂起を遂げました。

彼らはオデッサに到着し、ゼネストの最中に大規模なデモを行いましたが、政府軍艦隊の派遣により叛乱は鎮圧されました。ポチョムキンはその後、ドイツやルーマニアなど他国を転々としながら最終的に軍艦としての役目を果たしましたが、1918年にはイギリス・フランス軍によって拿捕され、その後解体される運命にありました。

多くの水兵たちは、叛乱後にルーマニアに残留し、数名は様々な文献で語り継がれる存在となりました。ポチョムキンの叛乱は、革命の象徴としてソ連時代に神話化され、映画『戦艦ポチョムキン』などの形でその名を広めることになりました。

最後に

ポチョムキン＝タヴリーチェスキー公の歴史は、艦としての役割を超えて社会運動の一端を担ったことから、今なお様々な形で語り継がれています。彼の存在は政治的背景や社会的変革の象徴ともなり、現代においてもその影響は多くの文献や映画に反映されています。

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