ポリミキシンB

ポリミキシンBとは

ポリミキシンBは抗生物質の一種で、主に皮膚感染症や髄膜炎、肺炎、敗血症、尿路感染症の治療に用いられます。日本ではポリミキシンBとして知られていますが、海外ではPoly-Rxというブランド名で流通しています。この薬は多くのグラム陰性菌に対して効果がありますが、グラム陽性菌には効果がないため、その使用には注意を要します。

投与方法

ポリミキシンBは、静脈や筋肉、脳脊髄液に注射する形で投与されます。また、吸入による投与もあります。通常、注射可能な形式は他の投与法が選択できない場合に限り用いられます。局所治療には、ポリミキシンBを含むさまざまな軟膏が存在しており、代表的なものにはオキシテトラサイクリンとの組み合わせによるテラマイシン軟膏や、バシトラシン、ネオマイシンとの混合製品があります。

副作用

ポリミキシンBの一般的な副作用としては、腎臓の問題、神経筋の障害による神経学的な問題、副作用として発熱や皮膚のかゆみ、発疹が現れることがあります。筋肉内注射の際には強い痛みを伴うこともあり、アナフィラキシーや筋力低下といった深刻な副作用が起こることもあります。妊娠中の使用については、胎児への影響が不明であるため慎重な判断が求められます。

作用機序

ポリミキシンBは細菌の細胞膜に作用し、内部へ物質が漏れ出すことを助けます。具体的には、環状ペプチド部分の正に荷電したアミノ基が細菌の外膜に結合し、その透過性を変更することで膜の完全性が崩れます。この結果、細菌は死に至ります。この作用がポリミキシンBの抗菌効果の根拠となっています。

医療用途と感受性のスペクトル

この薬は、多くの局所感染症やウイルス感染症に対処するために使用されます。局所投与では特に大腸菌や緑膿菌、膀胱炎や結膜炎、中耳炎、副鼻腔炎といった感染症に効果的です。また、経口投与の場合は白血病治療時の腸管内殺菌にも用いられます。

ポリミキシンBは、特に緑膿菌やインフルエンザ菌による感染症に対応するために、厳格に用いられています。これらの病原菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)は、それぞれ異なるものの、重要なデータが蓄積されています。

歴史と入手方法

ポリミキシンBは1964年に米国で医療用に承認されて以来、世界保健機関の必須医薬品リストに掲載されています。米国では、ジェネリック医薬品として手に入れることが出来、1日の費用は約17ドル程度です。欧州では、2015年時点で皮膚への適用のみが正式に認可されています。

研究への応用

ポリミキシンBはまた、細胞膜ストレスを研究するための材料として使用されています。この薬剤を用いたストレスアッセイにより、生物の反応を調べる実験が行われ、特にSalmonella entericaにおけるsmall RNA応答の研究に寄与しています。

ポリミキシンBは、抗生物質の中でも重要な役割を果たしていることが理解されており、その使用について適切な理解と管理が求められます。

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