ポール・ワイツ (宇宙飛行士)

ポール・ワイツ：宇宙への二度の挑戦と貢献

ポール・ワイツ（Paul Joseph Weitz）は、アメリカ海軍の士官、パイロット、航空機技術者、テストパイロット、そしてNASAの宇宙飛行士として、20世紀後半の宇宙開発に大きく貢献した人物です。彼は2度宇宙を訪れ、スカイラブ計画とスペースシャトル計画という、アメリカの宇宙開発史における重要なプロジェクトで重要な役割を果たしました。

生涯とキャリア

1932年、ペンシルベニア州エリーで生まれたワイツは、工学の修士号を取得後、海軍飛行士としてのキャリアをスタートさせました。その後、NASAの宇宙飛行士に選ばれ、スカイラブ計画とスペースシャトル計画に参加。引退後はNASAの役人として、後進の育成にも尽力しました。

若き日の学びと飛行への道

ワイツは、ハーバークリーク高校を卒業生総代として卒業後、ペンシルベニア州立大学で航空宇宙工学の学士号を取得。さらに、海軍大学院で航空宇宙工学の修士号を取得しました。大学時代には、ベータ・シータ・パイ・フラタニティに所属。学業と並行して、海軍予備役将校訓練課程を修了し、少尉に任官されました。

1956年9月には海軍飛行士となり、様々な海軍航空団で経験を積みました。その飛行時間は7700時間以上にも及び、そのうち6400時間がジェット機によるものでした。

NASAでの輝かしいキャリア

1966年4月、ワイツはNASAの第5期宇宙飛行士グループの一員に選ばれました。彼の最初の宇宙飛行は、スカイラブ計画初の有人ミッションであるスカイラブ2号でした。1973年5月25日に打ち上げられたスカイラブ2号で、ワイツはパイロットを務めました。このミッションでは、無人打ち上げ時に損傷したスカイラブ宇宙ステーションの修復という、前例のない大規模な作業が行われ、ワイツを含む3名の乗組員（ピート・コンラッド、ジョセフ・カーウィン）の活躍によって、スカイラブ計画は危機を脱しました。また、このミッション中に2時間11分の船外活動も行いました。

その後、ワイツは中止されたアポロ20号の司令船操縦士に配属される予定でしたが、1976年にNASAを退職し海軍に戻りました。しかし、50歳を過ぎてから再びNASAに戻り、スペースシャトル・チャレンジャーの初飛行（STS-6）に船長として参加しました。

1983年4月4日にケネディ宇宙センターから打ち上げられたSTS-6では、材料生成実験、雷の観測、通信衛星の展開、船外活動のサポートシステムの試験など、多岐にわたるミッションを成功させました。5日間のミッションを終え、4月9日にエドワーズ空軍基地に着陸。この飛行で、ワイツの宇宙滞在時間は合計793時間となりました。

1994年5月にNASAに戻ると、ジョンソン宇宙センターの副所長を務め、宇宙開発の発展に貢献しました。

人となりと晩年

ワイツは、ハーバークリーク出身のスザンナ・M・ベリーと結婚し、2人の子供をもうけました。趣味は狩りと釣り。引退後はアリゾナ州に住み、2017年10月22日に骨髄異形成症候群により85歳で亡くなりました。

彼の名誉を称え、ハーバークリーク高校の競技場は「ポール・ワイツ・スタジアム」と名付けられています。

ポール・ワイツは、その卓越した技術と勇気、そして宇宙開発への情熱によって、アメリカの宇宙開発史にその名を刻んだ偉大な人物です。

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