マキノ真三

マキノ真三：映画監督、プロデューサー、そして陶芸家への転身

マキノ真三は、1982年7月に生涯を閉じた日本の映画監督、映画プロデューサーです。映画界の父と称される牧野省三の三男として生まれ、兄には映画監督のマキノ正博、映画プロデューサーのマキノ光雄がいます。しかし、映画人としては兄たちほどの成功を収めることはありませんでした。

生い立ちと映画界での活動

マキノ真三は京都で生まれ、高村正次の「正映マキノキネマ」や、兄・正博が設立した「京都映音」に関わりました。その後、日活京都撮影所では、兄・正博や辻吉郎の助監督を務め、映画制作の現場で経験を積みました。1940年には、兄・正博が監督した『続清水港』でチーフ助監督を務めましたが、その後日活を退社します。

1941年、マキノ真三は東京の大都映画で、近衛十四郎を主演に『愛憎乱麻』で映画監督としてデビューしました。この作品は「マキノ真三第1回監督作品」として公開されましたが、大都映画での監督作品はこれが唯一となりました。同年には、女優の宮城千賀子と結婚。宮城は1939年の映画『宮本武蔵』で「お通」を演じており、前作で同じ役を演じた轟夕起子が兄・正博と結婚していたことから、「お通が二人マキノ家に嫁いだ」と話題になりました。

1943年には、兄・正博が撮影所長を務める松竹京都撮影所で、辻吉郎との共同監督で『海賊旗吹っ飛ぶ』を制作しました。前年に引退していた妻・宮城との間には、長男・省一が誕生しています。

戦後の活動と転身

第二次世界大戦後、1946年にマキノ真三は「劇団なでしこ」を結成し、舞台活動を始めました。妻・宮城と共に「マキノ芸能社」を設立し演劇活動に取り組みましたが、1948年には解散しています。その後、「マキノ映画」を設立し、『桜御殿』、『鉄路の薔薇』を監督しました。また、並木鏡太郎監督の映画『右門捕物帖 謎の八十八夜』をプロデュースするなど、映画製作にも携わりました。

1948年10月には、「劇団なでしこ」を母体とした新芸能社「ピンク・リボン・カンパニー」（PRC）を妻と共に設立し、劇団活動に重点を置きました。1952年には高村正次の「宝プロダクション」に入社し、加藤泰監督の『ひよどり草紙』をプロデュースしますが、「マキノ芸能社」の負債問題を巡り、夫婦関係は悪化。宮城は映画出演を積極的に行うようになり、1953年、二人は離婚しました。その後、新東宝に移籍するも映画プロデューサーとしての活動は長続きせず、後に陶芸の世界へと進み、長野県の安曇野に移住しました。

マキノ家の系譜

マキノ真三は、映画界の巨匠・牧野省三の息子として生まれ、兄弟もまた映画界で活躍しました。しかし、彼自身は、監督、プロデューサーとして活動する傍ら、晩年は陶芸家として新たな道を歩むこととなりました。

フィルモグラフィー

助監督

続清水港 (1940年) - 監督：マキノ正博

監督

愛憎乱麻 (1941年)
海賊旗吹っ飛ぶ (1943年) - 共同監督：辻吉郎
桜御殿 (1948年)
鉄路の薔薇 (1949年) - 共同監督：安達伸生

プロデューサー

右門捕物帖 謎の八十八夜 (1949年)
ひよどり草紙 (1952年)
隠密七生記 剣雲碓氷峠の乱陣 (1956年)
続隠密七生記 龍攘虎搏の決戦 (1956年)

外部リンク

Shinzo Makino - IMDb
マキノ真三 - 日本映画データベース
マキノ・プロジェクト - 立命館大学アート・リサーチセンターの公式サイト

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