マキン・アイランド (強襲揚陸艦)

強襲揚陸艦「マキン・アイランド」(USS Makin Island, LHD-8)

「マキン・アイランド」は、アメリカ海軍が運用するワスプ級[[強襲揚陸艦]]の8番艦です。太平洋戦争における激戦地、マキン島にその名を由来します。この艦は、従来のワスプ級艦艇とは異なり、数々の新技術が導入された点が大きな特徴です。

起工から就役まで

2004年2月14日、ミシシッピ州パスカグーラのインガルス造船所で起工されました。2006年9月に進水し、2009年10月24日にサンディエゴで就役しました。

主要な変更点

「マキン・アイランド」は、ワスプ級の他の艦艇とは異なるいくつかの重要な変更が加えられています。特に注目すべきは、その推進システムです。

機関

従来の蒸気タービンエンジンに代わり、ガスタービンエンジンを主機関として採用しました。また、低速航行時には電動機で推進するハイブリッド型システムを採用しています。このハイブリッド推進システムの導入は、アメリカ軍艦艇としては初の試みです。

主機関: GE製LM2500+ガスタービンエンジン2基（定格出力35,000hp、最大出力40,500hp）
補助推進システム (APS): フェアバンクスME製ディーゼル発電機6基（4,000kW）、補助電動機2基（5,000hp）
新たな機関管制システム

ガスタービンエンジンと電動機による補助推進システム(APS)を組み合わせたことで、燃料消費量は若干増加するものの、運用人員や維持費などの機関関連コスト全体を低減することが期待されています。ガスタービンエンジンの低速航行時の燃料消費量増加は、最大速度12ノット程度まで対応可能なAPSの推進力によって補完されます。従来艦では艦内電力供給に使われていた蒸気タービン発電機5基（2,500kW）が撤去され、艦内電力は全てAPSのディーゼル発電機6基によって供給されます。これにより、総発電能力は従来の14,000kWから24,000kW以上に強化されました。

運用実績と燃料効率

2012年までの運用実績では、全航行時間の70～75%がAPSによる推進でした。蒸気タービン推進のワスプ級1～7番艦が1日に35,000～40,000ガロンの燃料を消費していたのに対し、「マキン・アイランド」は約15,000ガロンに抑えられています。これにより、退役までに他の艦艇と比較して2億5,000万ドル以上の燃料費節約が見込まれています。

その他の変更点

水霧防火システム: 新しい防火システムを導入。
高度な指揮管制・戦闘コントロールシステム: より高度な情報処理能力を搭載。
満載排水量の増加: 40,650トンから41,335トンへ増加。

ハリケーンによる損傷

ハリケーン・カトリーナの被害により、「マキン・アイランド」も建造中に損傷を受けました。同じくインガルス造船所で建造中だったアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦2隻も同様の被害を受けています。

まとめ

「マキン・アイランド」は、従来の強襲揚陸艦に比べて、技術的に大きな進歩を遂げた艦です。特に、ハイブリッド推進システムの導入は、運用コストの削減と効率的な航行を可能にし、アメリカ海軍の作戦能力向上に貢献しています。

参考資料

大塚吉古「STOVL空母化した米海軍強襲揚陸艦」『軍事研究 2011年7月号』、ジャパン・ミリタリー・レビュー、ISSN 0533-6716

関連項目

強襲揚陸艦
アメリカ海軍艦艇一覧

外部リンク

USS Makin Island official website
nvr.navy.mil: USS Makin Island
globalsecurity.org: USS Makin Island
* navsource.org: USS Makin Island

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