マトニア科

マトニア科 (Matoniaceae)

概要

マトニア科は、薄嚢シダ類に属する大葉シダ植物の一群です。現生種はわずか2属4種ですが、この科は中生代にはコスモポリタンな分布を持っていました。過去には、地球のさまざまな地域で広く見られ、多様な環境に適応してきたことが進化の痕跡から明らかです。

形態的特徴

この科は形態的にウラジロ科に似ていますが、大きな違いとして、根茎の内部構造が複雑であることが挙げられます。特に、多環両篩管状中心柱（polycyclic solenostele）を持ち、中心に複数の同心円状の環が存在します。根茎が大きくなると、3つの包囲維管束環を形成します。葉は叉状に何度も分岐し、典型的なマトニア属の葉は2メートル以上の長さに達します。葉先では、葉軸が二分され、さらに羽片が不等叉状に分岐します。羽片は羽状中裂し、最大で50 cmに達することがあります。

ウラジロ科との違いとして、胞子嚢群の配置や構造があります。マトニア科の胞子嚢群は、羽片の中肋に沿って1列に配置され、成熟する胞子嚢が傘状の包膜の柄で接続されています。これは、ウラジロ科とは異なる特徴で、短い柄と斜めの環帯を持つ斉熟型の構造を持っています。また、古水分子系の化石であるMatonidiumやPhlebopterisは、形態に特有の特徴があります。

分布と生育環境

現生のマトニア科は、ボルネオ島、マレー半島、ニューギニア島の限られた地域に分布しており、日本には存在しません。特に、マトニア属の代表種であるM. pectinataは、標高1000m以上の場所で、日がわずかに差し込む林床の痩せた土壌に群生しています。濡れた環境の中で生き残る能力が、進化の過程において大きな影響を及ぼしています。

化石記録

化石記録は三畳紀や白亜紀にさかのぼり、少なくとも13属が確認されており、中生代には非常に広範囲に分布していました。化石は北半球の高緯度地域や南米、南極からも発見されており、その分布の広さがこの科の多様性を示しています。中生代で最も多く発見されている属には、Phlebopteris、Matonidium、マトニア属が含まれます。

分類と系統

マトニア科は、古くから独立した科として分類されており、ウラジロ科との関係が示されています。分子系統樹において、ヤブレガサウラボシ科と姉妹群をなしており、ウラジロ科と近縁であることが示唆されています。この系統関係は、進化の過程での進化的な変遷を理解する上で重要な役割を果たしています。

全体的に、マトニア科は形態的特徴、分布、生育環境、化石記録を通じて、植物の進化の多様性を示す重要な群であり、今後の研究によってさらなる知見が得られることが期待されています。

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