マレー鉄道クラス92電車

クラス92電車：マレーシアの都市鉄道を支える新型車両

クラス92電車は、マレーシア鉄道公社（KTMB）が運行するKTMコミューター向けに導入された交流電車です。2010年から製造が開始され、2012年3月8日に運行を開始しました。この車両は、KTMコミューターの輸送力増強と、既存のクラス81、クラス82、クラス83電車の初期車両の置き換えを目的として開発されました。

デザインと製造

クラス92電車のプロダクトデザインは、ドイツのTricon Design AGが担当しました。同社は、「デジロML」や「スイス国鉄RABe511形電車」といった実績のある車両デザインを手がけており、クラス92では「マレーシアの虎」をイメージしたデザインが採用されました。

製造は中国南車集団のグループ企業である株洲電力機車が行い、38編成が製造されました。2011年末からマレーシアへの輸送が開始され、導入準備が進められました。

車両構造

車体は軽量なアルミニウム合金製で、両開き3扉のプラグドアを備えています。編成は4M2T（電動車4両、付随車2両）の6両編成です。これにより、乗客の乗り降りがスムーズに行えるようになっています。

車内設備

車内はセミクロスシートが採用されており、快適な座席配置となっています。防犯カメラが設置され、安全性も確保されています。各座席には3ピン式の電源コンセントが設けられ、乗客は移動中に電子機器を利用できます。また、編成の中間車両である3号車と4号車は、終日女性専用車両として運用されています。

案内設備として、車端部にはLED式の案内表示器が設置され、現在位置や次の停車駅などが表示されます。扉上には路線図が点灯し、現在位置と行先が確認できるようになっています。さらに、扉付近のスタンションポールには液晶ディスプレイ（LCD）が設置され、詳細な情報提供を行っています。

空調設備は、熱帯地域での運用を考慮して設計されており、換気機能と除湿機能を備えています。これにより、車内環境を快適に保ち、乗客は常に快適な状態で移動できます。

電源と制御機器

電装部品の大部分は、ドイツのシーメンスの工場およびその子会社で製造されました。集電装置としては、2号車と5号車にシングルアーム式のパンタグラフが搭載されています。このパンタグラフは、日本では近年採用されているT字型とは異なり、Y字型に見える形状（ダブルアームZ型パンタグラフ）が採用されています。

運用路線

クラス92電車は、主にKTMコミューターのラワン - スレンバン線とバトゥ・ケーブス - ポート・クラン線で運用されています。ただし、イスラム教の祝祭期間中、特にラマダーン終了を祝う「ハリラヤ・プアサ」の帰省ラッシュ時には、KTMインターシティやKTMエレクトリック・トレイン・サービス（ETS）など、他の路線でも運用されることがあります。

編成番号と車両番号

編成番号と車両番号は、以下の通りです。

[ここに編成番号と車両番号の詳細情報を追加]

トラブル

製造の遅延

クラス92電車は、当初2011年12月に最初の編成が運行を開始する予定でした。しかし、製造の遅延により運行開始日は2012年3月8日までずれ込みました。この遅延は、製造上の問題や調整作業の必要性など、複数の要因が複合的に影響したと考えられます。

クラス92電車は、マレーシアの都市鉄道輸送を支える重要な役割を担っています。その快適な車内と効率的な輸送力は、多くの乗客に利用されています。

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