マーチ・83G

マーチ・83Gについて

マーチ・83Gは、1983年に登場したIMSA GTPおよびグループC用のシャシーであり、エイドリアン・ニューウェイによって設計されました。このモデルはIMSA選手権において、ドライバーズタイトルやシャシー製造者のタイトルを獲得するなど、輝かしい成績を残しました。

設計と製造

エイドリアン・ニューウェイが手掛けた最初の車両である83Gは、1983年から1984年にかけて設計され、合計5台が製造されました。うち4台はIMSAで、残りの1台は日本のグループCレースに使用されました。特にニューウェイのデザイン哲学が色濃く反映されているこの車両は、当時のレーシングカーの性能を引き出すために多くの革新が盛り込まれていました。

IMSAでの活躍

83Gの初戦は1982年11月のデイトナ3時間レースで、アル・ホルバートが率いるチームが3台の83Gを使用しました。このうち最初の2台にはシボレーエンジンが搭載され、すぐに成功を収めました。ホルバートはこの車両でマイアミとラグナ・セカのレースに勝利し、その強さを証明しました。また、ミッドオハイオでは他のドライバーたちと共にさらに1勝を挙げました。

3台目の83G（83G-4または83G-04）はポルシェエンジンを搭載し、ホルバートはここでも4勝を追加。この走りで彼は自身のドライバーズタイトルを手にし、マーチはシャシー製造者のタイトルも獲得しました。翌年にはランディ・ラニエがドライバータイトルに加えて、マニュファクチャラータイトルをも獲得しました。

全日本耐久選手権への参戦

1983年、日産は全日本耐久選手権や富士ロングディスタンスシリーズ（富士LD）、WEC-JAPANに参戦するため、ホシノレーシングやハセミモータースポーツなどにエンジンや資金を供給しました。この中でホシノレーシングが購入したのが83Gで、日産のLZ20B型エンジンを搭載した83G-5がその名車です。

富士1000kmでは星野一義と萩原光がドライバーを務め、好成績を収めました。また鈴鹿1000kmでは、ポルシェを抑えポールポジションを獲得、WEC-JAPANでは国産エンジン搭載車として最高位の7位でフィニッシュしました。1984年には星野の活躍によりトップパフォーマンスを見せるものの、マシンの信頼性の問題で完走は叶いませんでした。

1985年の鈴鹿500km開幕戦でエンジンをFJ20型に換装した83Gは、2位入賞を果たし、チームの最上位成績を記録。その後、富士1000kmでのリタイアをもって83Gでのレースは終了し、ホシノレーシングは新しいマーチ・85Gに変更を図ることになりました。

まとめ

マーチ・83Gは単なるレーシングカーに留まらず、その設計や性能、歴史的な成果を通じて自動車スポーツの一時代を築いた名車です。特に、全日本耐久選手権への参戦は日本のレースシーンにおける重要な節目となり、その後のモータースポーツの発展に寄与しました。

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