ムーサー・カーズィム

ムーサー・アル＝カーズィム：シーア派十二イマーム派第7代イマーム

ムーサー・アル＝カーズィム・イブン・ジャアファル・アッ＝サーディク（745年 - 799年）は、シーア派十二イマーム派における第7代イマームです。彼はマディーナで生まれ、バグダードで生涯を終えました。

生涯

ムーサー・カーズィムは、第6代イマームであるジャアファル・サーディクの子として生を受けました。彼の誕生は、ウマイヤ朝とアッバース朝の権力闘争の時代と重なります。21歳の時、父ジャアファル・サーディクが亡くなると、シーア派イマーム派の多数の支持を得てイマームの地位を継承しました。

しかし、ムーサーのイマーム継承は、完全に争いのないものではありませんでした。彼はジャアファル・サーディクの長男ではなかったため、長男のイスマーイール・イブン・ジャアファルを支持する人々は分派し、「イスマーイール派」を形成しました。一方、ムーサー・カーズィムとその子孫の継承を支持する人々は「十二イマーム派」と呼ばれます。

ムーサー・カーズィムは、アッバース朝の第5代カリフであるハールーン・アッ＝ラシードによって投獄され、数年後には毒殺されました。彼の遺体はバグダード近郊のカーズィマインに埋葬され、その墓廟は、孫にあたる第9代イマーム、ムハンマド・タキーの墓廟と隣接しており、シーア派の重要な聖地となっています。

カーズィム廟

カージマイン・モスクは、バグダード中心部から北へ約8キロメートルのカージミーヤ地区に位置するシーア派の聖地です。その特徴は、金色のドームと美しい彩釉タイルで飾られた門です。この霊廟は、ムーサー・カーズィムと、その孫であるムハンマド・タキーが埋葬されていることから「カーズィム廟」として知られています。霊廟の起源は古いものの、現在の形に整備されたのは17世紀以降で、19世紀にはガージャール朝ペルシアのシャーによる大規模な改修が行われました。2つのドームは、2人のイマームを象徴しています。

イマームの伝承

七代目イマーム・カーズィムは、以下のような言葉を残しています。

「ムスリム信徒を幸福にさせたときは、まずアッラー、二番目に預言者、三番目にわれわれ（アフルル・バイト）を喜ばせているのである。」
「現世は海水に似ている。喉が渇いている人がどれだけその水を飲んでも、喉の渇きは増すばかりで、水が彼を殺してしまう。」

補説

1979年のイラン・イスラーム革命の最高指導者であったホメイニは、自身をムーサー・カーズィムの子孫であると主張していました。

関連項目

シーア派
十二イマーム派

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