ムーラド・レイス級フリゲート

ムーラド・レイス級フリゲート

アルジェリア海軍が運用するムーラド・レイス級フリゲートは、かつてソビエト連邦、現在のロシア連邦に属するカザン近郊のゼレノドリスク造船所で合計3隻が建造された艦艇です。旧ソ連において警備艦として開発されたコニ型フリゲート（プロジェクト1159型）のサブタイプにあたる、プロジェクト1159.2型として設計されています。2024年現在、これら3隻はすべて現役として活動を続けています。

設計と機関

本級は、コニ型フリゲートの設計を踏襲しており、特にプロジェクト1159.2型に分類されます。推進方式にはCODAG（Combination of Diesel And Gas Turbine）を採用しており、高速航行用のSGWニコライエフ M8Bガスタービンエンジン1基（最大出力18,000馬力）と、巡航用のB68ディーゼルエンジン2基（合計出力15,820馬力）を組み合わせています。これらにより3軸のスクリューを駆動します。最大速力は27ノットに達し、ディーゼルエンジンのみでの巡航速力は22ノットです。

装備

センサーシステムは、就役当初はFバンドを使用する対空・対水上捜索レーダーであるMR-302 ルブカ（NATOコードネーム：ストラット・カーブ）をマスト頂部に装備していましたが、後にIバンドのポジティブ-ME1.2（NATOコードネーム：クロス・ラウンド）に換装されました。その他のセンサー類も、すべてソ連/ロシア製のシステムが採用されています。

兵装としては、艦首と艦尾にそれぞれAK-726 59口径76mm連装砲塔を1基ずつ配置し、上部構造物の両舷にはAK-230 65口径30mm連装機関砲を備えています。就役当初は艦対空ミサイルとして4K33 オサーM（NATOコードネーム：SA-N-4 ゲッコー）用の格納式連装発射機が上部構造物後端付近に装備されていましたが、後の近代化改修で撤去されました。対潜兵器としては、艦橋前方にRBU-6000対潜ロケット発射機2基と、爆雷を投下するための軌条2基が設置されています。また、2番艦と3番艦には、後日533mm連装魚雷発射管が2基追加搭載されています。加えて、機雷敷設能力も有しています。

防御用装備に関しては、就役当初は電子戦支援装置（ESM）としてウォッチ・ドッグおよびクロス・ループが搭載され、チャフ発射機も備えていました。これらも改修により、NRJ-6A ESMシステムとPJ46 デコイ発射機2基に変更されています。

運用史と近代化

ムーラド・レイス級は、就役後にいくつかの段階を経て近代化されています。1992年から1994年にかけて、発電機が新型のものに換装されました。より大規模な近代化改修は、3番艦が1997年から2000年にかけて最初に実施され、その後1番艦（2007年～2011年）、2番艦（2008年～2012年）が同様の改修を受けました。この改修では、捜索レーダーの交換、艦対空ミサイル装備の撤去、ヤコール（NATOコードネーム：ホーク・スクリーチ）射撃指揮レーダーの撤去、魚雷発射管の追加装備（該当艦）、そして新型電子装備の搭載が行われています。さらに、2012年からは、MR-104 ルス（NATOコードネーム：ドラム・ティルト）射撃指揮レーダーを電子光学機器に換装する改修も順次実施されています。

現在、ムーラド・レイス級の全3隻は、アルジェリア海軍において主に練習艦として運用されています。

建造国
: ソビエト連邦

運用国
: アルジェリア

同型艦数
: 3隻

現況
: 全艦現役（練習艦として運用）

もう一度検索