メジロムサシ

メジロムサシの競走馬としての歩みと引退後の生活

メジロムサシは、昭和45年（1970年）世代の日本の競走馬で、特に天皇賞での勝利が注目される存在でした。彼はメジロ商事初の天皇賞馬として名を馳せましたが、その競走馬人生は決して平坦ではありませんでした。

デビューと初期の競走成績

メジロムサシは1969年7月12日に中央競馬でデビューを果たし、翌年の2月8日には未勝利戦を含む3連勝を達成し、ここからクラシック戦線への道を歩み始めました。しかし、その競走馬としての特性は晩成型であり、またイレ込み癖がありました。その影響から、1970年のクラシック戦線では同期のタニノムーティエやアローエクスプレスに比べて目立った結果を残せず、セントライト記念では2着、菊花賞では4着に終わりました。特に父にあたるワラビーの影響で、長距離に強い血統でありながら本格化には時間がかかったのです。

初の重賞制覇と天皇賞

1971年に入ると、メジロムサシは遂に目黒記念で重賞初制覇を果たします。この勝利を機に彼は春の天皇賞に挑むことになりました。しかし、天皇賞当日は大雨の影響で馬場が不良に。ほとんど田んぼのようになり、その中でもメジロムサシはその適性を発揮し、重馬場を得意とするオオクラとの接戦を制し優勝を飾りました。

次のレースでは、第12回宝塚記念においてもかつての僚友であるメジロアサマを下し、再び優勝を手にします。このレースはメジロ同士のワンツーとなり、一時期は『メジロ記念』とも呼ばれるほどに名を馳せました。

凱旋門賞と海外遠征

1972年にはメジロムサシは海外遠征を決定します。まずはオープンレースで勝利を収めた後、凱旋門賞（フランス）とワシントンDCインターナショナル（アメリカ合衆国）に出場しますが、残念ながらどちらのレースでも結果を残せず、着外に終わることとなります。

その後も現役を続け、1973年まで競走を重ねました。ハリウッドターフクラブ賞ではタニノチカラに次ぐ2着に入りましたが、勝利を挙げることはなく、最後はクモハタ記念で6着を記録し引退を迎えました。

引退後の種牡馬生活

メジロムサシは引退後、北海道の胆振種馬場で種牡馬生活をスタートさせましたが、必ずしも恵まれた環境ではなく、育成の面で試練を乗り越えなければなりませんでした。代表産駒となるはずだったメジロライデンの死亡などに見舞われたこともあり、他の有名種牡馬と比べると目立った成果を挙げることができませんでした。ただ、1981年に最優秀アラブを受賞したアングロアラブのライトオスカーを出し、彼の子孫を後世に伝える役割を果たしました。

最晩年

メジロムサシは1989年3月17日、茨城県の東京大学農学部付属牧場で23歳という生涯を終えました。死因は急性心不全でした。彼の競走馬としての記録は、長距離競走における成功によって色あせることはありません。競走馬として、また種牡馬としての彼の歩みは、今なお日本の競馬界で語り継がれています。

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