メックエル

メケレ（またはメックエル）は、エチオピア北部のティグレ州に位置する州都であり、その歴史は13世紀に遡ります。首都アディスアベバから約780km北に位置し、面積は54.44平方キロメートル、2015年には32万3700人の人口を抱える都市です。

歴史

メケレは、13世紀に設立されてから、エンデルタ州の主要都市として発展してきました。1871年にはヨハネス4世がこの地を遷都先に選び、一時的にエチオピア帝国の首都としての役割を果たしました。しかし、ヨハネス4世の息子が天然痘で亡くなり、ヨハネス4世自身も1889年に戦死したことで、首都機能は失われました。

1895年には、第一次エチオピア戦争の中でイタリアがメケレを占領しましたが、翌年、エチオピア帝国軍がメケレの戦いで勝利し、イタリア軍を撤退させました。1902年から1904年にかけて、イタリアはアスマラとアディスアベバを結ぶ電話線を敷設し、メケレにも交換所が設置されました。

1935年、第二次エチオピア戦争が勃発すると、イタリアは再びメケレを占領し、1936年にはエチオピア帝国を滅ぼしてイタリア領東アフリカを建国しました。しかし、1941年にイギリス軍がイタリア領東アフリカを滅ぼし、ハイレ・セラシエ1世がエチオピア帝国を再建しました。

1943年には、ハイレ・セラシエ1世に対する反乱が勃発し、反乱軍はメケレとその周辺を占拠しました。しかし、皇帝軍による空爆によって反乱は鎮圧され、メケレは破壊されました。その後、この反乱を記念して、メケレは「ウォラネ」と呼ばれることもあります。

1974年、エチオピア内戦中に軍部調整委員会（デルグ）がエチオピア帝国を滅ぼし、エチオピア人民民主共和国を建国しました。1983年から1985年のエチオピア飢餓の際には、メケレ周辺に難民キャンプが設置され、多くの人々が命を落としました。

1980年代後半には、ティグレ人民解放戦線（TPLF）と政府軍の間で激しい戦闘が繰り広げられ、1989年にはTPLFがメケレを占領しました。1991年にはクーデターによってエチオピア人民民主共和国が滅亡し、エチオピア連邦民主共和国が建国されました。

1998年には、エチオピア・エリトリア国境紛争が勃発し、メケレの学校がエリトリア軍の空爆を受けるなどの被害が出ました。2000年に停戦が成立しましたが、現在もエリトリアとの緊張は続いています。

2020年11月には、エチオピア政府軍とTPLFの間で戦闘が激化し、一時的にメケレは政府軍によって奪還されました。しかし、2021年にはTPLFがメケレを奪還し、政府軍は撤退しました。

地理と気候

メケレはサバナ気候に属し、年間を通して温暖な気候です。

人口

メケレの人口は、1984年には6万1583人でしたが、2015年には32万3700人にまで増加しています。人口密度は5,946人/km2です。

民族と宗教

メケレの住民の多くはティグレ人で、次いでアムハラ人が多く住んでいます。宗教はエチオピア正教が多数を占めています。

教育と交通

メケレには、ネジャシ・エチオピア・トルコ国際学校メケレ分校、クロシス大学、メケレ大学などの教育機関があります。交通面では、アルラ・アバ・ネガ空港が利用されています。

姉妹都市

メケレは、イスラエルのラムラ、トルコのバイブルト、ドイツのヴィッテンと姉妹都市提携を結んでいます。

メケレの現状

メケレは、歴史的な変遷を経験しながらも、ティグレ州の政治・経済・文化の中心都市として発展を続けています。しかし、近年の紛争により、多くの人々が避難を余儀なくされ、人道的な支援が必要とされています。この地域が平和と安定を取り戻し、更なる発展を遂げることが期待されています。

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