メディカルセンター停留場

メディカルセンター停留場：歴史と現状

長崎市新地町に位置する長崎電気軌道大浦支線の路面電車停留場、メディカルセンター停留場。駅番号47番で、5号系統が停車します。長崎みなとメディカルセンターの最寄り駅として、地域住民や医療関係者にとって重要な役割を担っています。

辿る歴史：出師橋からメディカルセンターへ

この停留場の歴史は古く、1916年（大正5年）に「出師橋停留場」として開業しました。停留場名は、かつてこの地にかかっていた出師橋に由来し、日露戦争の兵士の出征地として名付けられた歴史的背景を持っています。しかし、太平洋戦争中の1944年（昭和19年）には、急行運転開始に伴い一時廃止。戦後の1949年（昭和24年）に再開業しました。

1961年（昭和36年）に出師橋が撤去されると、長崎電軌の軌道も移設。これに伴い、旧停留場は廃止され、新線上に移設の上「市民病院前停留場」に改称されました。そして、2018年（平成30年）8月1日、現在の「メディカルセンター停留場」へと改名されました。この名称変更は、近隣の主要施設である長崎みなとメディカルセンターを反映したものです。

停留場の構造と利用状況

メディカルセンター停留場は併用軌道上にあり、道路上に相対式ホームが2面設置されています。東側のホームは石橋方面、西側のホームは新地中華街方面行きとなっています。

利用状況は変遷を辿っており、長崎電軌の調査によると、1998年の1日あたりの乗降客数は1385人でしたが、2015年には600人に減少しています。これは、地域社会の変化や交通手段の多様化などを反映していると考えられます。

周辺環境と今後の展望

停留場周辺には、長崎みなとメディカルセンターのほか、「我が国鉄道発祥の地」の碑（グラバーが日本初の鉄道実験線を行ったことを記念）や、観光名所であるオランダ坂も近接しています。ただし、観光客の利用は必ずしも多くありません。活水女子大学（東山手キャンパス）の最寄停留場でもあることから、学生の利用も一定数見込まれます。

大浦支線から長崎駅前方面へは、隣の新地中華街停留場での乗り換えが必要です。この乗り換えの不便さを解消するため、メディカルセンター停留場から本線出島停留場までを結ぶ短絡線の建設構想も存在します。この構想が実現すれば、アクセス向上による利用者増加も期待されます。

アクセスと周辺情報

最寄りの病院: 長崎みなとメディカルセンター
教育機関: 活水女子大学（東山手キャンパス）
観光スポット: オランダ坂
その他: 長崎水辺の森公園、ながさき出島道路出入口、海星中学校・高等学校、ホテルニュータンダなど

参考文献

今尾恵介（監修）『日本鉄道旅行地図帳』 12 九州沖縄、新潮社、2009年
川島令三『四国・九州ライン 全線・全駅・全配線』 第5巻 長崎・佐賀エリア、講談社、2013年
田栗優一『長崎「電車」が走る街今昔』JTBパブリッシング、2005年
田栗優一、宮川浩一『長崎のチンチン電車』葦書房、2000年
* 長崎電気軌道株式会社『長崎電気軌道100年史』2016年

メディカルセンター停留場は、歴史と現代が交差する長崎の街並みを象徴する場所であり、今後も地域の交通を支える重要な役割を果たしていくことでしょう。

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