メルセデス・ベンツ・スプリンター

メルセデス・ベンツ スプリンター：小型商用車のベストセラー

メルセデス・ベンツ・スプリンターは、メルセデス・ベンツが製造・販売する小型商用車です。バン、キャブシャシのボディタイプが用意され、世界中で幅広く利用されています。フォルクスワーゲンLTやクラフターと姉妹車関係にあり、過去にはダッジやフレイトライナーブランドからも販売されていました。現在、メルセデス・ベンツのバン系車種では最大サイズを誇ります。

歴史と変遷

スプリンターは、1977年から1995年まで販売されていたトランスポーターの後継車種として、1995年に欧州、2001年に米国で発売されました。当初はメルセデス・ベンツとフォルクスワーゲンの合弁事業として企画・開発され、ダイムラーAGが生産を担当しました。

現在までに3世代のモデルチェンジを経ており、各世代でデザイン、性能、搭載技術が進化しています。初代モデル(W901/902/903/904/905型)は、後輪駆動を基本とし、四輪駆動モデルも設定。多様なホイールベースと、突き上げが少ないサスペンションが特徴でした。エンジンはディーゼルとガソリンが用意され、それぞれ直列4気筒と直列5気筒がラインナップされていました。

2代目モデル(W906型)は、2006年に発表され、2013年と2014年に大幅な改良を受けました。V型6気筒ディーゼルとガソリンエンジンを搭載し、5速ATが組み合わされました。

3代目モデル(W907/910型)は2018年に登場。メルセデスの最新インフォテインメントシステム「MBUX」を採用し、先進の通信機能と運転支援システムを搭載しました。

多様な用途

スプリンターは、宅配・訪問サービスなどでの使用が最も一般的ですが、用途は多岐に渡ります。ミニバス、救急車、キャンピングカー、そして様々な特装車のベース車両としても広く用いられています。そのため、ボディ上部のないキャブシャシも販売されています。

世界市場での展開

欧州、アジア、オーストラリア、南アメリカなど、世界中で販売されており、年間約12万台、2006年時点で累計130万台以上の生産実績を誇ります。燃料電池車も開発され、UPSによる実証実験も行われています。1995年には「インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」、2006年には「インテリチョイス・エクセレント・バリュー賞」を受賞するなど、高い評価を得ています。

社会問題と日本での販売

ドイツでは、スプリンターの速度超過による事故が社会問題化しました。乗用車登録が可能な「デリバリーバン」は高速道路におけるトラックの速度規制を受けないためです。

日本では、トヨタ自動車による商標登録の関係で「トランスポーターT1N」として販売されましたが、2006年には正規輸入販売を終了しました。現在は並行輸入のみとなっています。例外として、2004年には大阪市営バスがコミュニティバス「赤バス」用に13台導入した実績があります。

北米市場

北米では、ダッジブランドから「ダッジ・スプリンター」として販売され、2005年には19,578台を販売し、フルサイズバンの3.5%のシェアを獲得しました。キャンピングカーのベース車両としても人気があります。

まとめ

メルセデス・ベンツ・スプリンターは、その高い信頼性、多様なバリエーション、そして世界規模での販売実績から、小型商用車市場を代表するモデルと言えるでしょう。今後も、技術革新と市場ニーズに対応した進化を続けることが期待されます。

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