メルセデス・ベンツ・W202

メルセデス・ベンツ Cクラス (W202/S202): 初代Cクラスの系譜

[1993年]]5月、メルセデス・ベンツは190シリーズの後継として、Cクラス(W202)を発表しました。セダン]と[ステーションワゴン]がラインナップされ、[[オリビエ・ブーレイ氏によるデザインは、特徴的な上下に伸びた三角形のテールライトが目を引くものでした。

デザインとボディ

ブーレイ氏は、同時期のスバル・レガシィのチーフデザイナーも務めており、その才能がCクラスにも惜しみなく注がれました。190シリーズと比べて全長を70mm、ホイールベースを20mm拡大。これにより、後部座席の居住性が大きく向上し、より快適な空間が実現しました。トランクリッドはバンパー位置から開閉可能な設計も特徴の一つです。

インテリアと装備

欧州市場では、「クラシック」「エレガンス」「エスプリ」「スポーツ」の4種類のトリムが用意され、顧客は好みに合わせて選択することができました。中でも「エスプリ」と「スポーツ」は、1インチダウンのスポーツサスペンションが装備されていました。日本市場では、セダンとステーションワゴンの他、AMGチューニングモデルも導入されました。ステーションワゴンのリアシートは6:4分割可倒式で、上級グレードの「エレガンス」には運転席パワーシートが標準装備されていました。

走行性能

特筆すべきは、最小回転半径です。4.9mというコンパクトな数値は、CセグメントやBセグメントの車並みの取り回しやすさを実現しています。これは、ステアリング操作時に左右の前輪上面が旋回方向に傾く機構によるものです。

日本市場での展開とAMGモデル

日本市場では、1993年10月にC220、C250ディーゼル、C280、C280スポーツライン、AMG C280、C36が発売されました。C280スポーツラインは15インチアルミホイール、スポーツサスペンション、ワイドタイヤを装備し、最低地上高を25mm低くすることで、走行性能を高めていました。また、AMG C280は、AMG製のエアロパーツ、ショックアブソーバー、マフラー、17インチアルミホイールなどを装着した正規AMGモデルでした。1996年まではAMGの工場で最終組み立てが行われ、ホイールアーチ裏側の「爪折」加工も施されるなど、細部までこだわり抜かれたモデルでした。特に、日本国内では販売期間がわずか9ヶ月、輸入台数も非常に少ない希少なモデルでした。

モデルバリエーションと進化

1994年には2.0LエンジンのC200と、装備を充実させたC200エレガンスが登場。1996年にはC250Dがカタログ落ちし、C220がC230に排気量アップされました。同年、Cクラス初のステーションワゴンであるC230ステーションワゴンも追加され、全車に5速ATが採用されました。

1997年のマイナーチェンジでは、バンパー、サイドスカート、テールレンズ、内装トリムなどが変更。エンジンは直列6気筒からV型6気筒またはV型8気筒に置き換えられ、直列4気筒は2.0Lのみとなりました。これに伴い、C230、C280スポーツライン、C36 AMGは、C240、C43 AMGへとモデルチェンジされました。1998年にはC55 AMG、C200ステーションワゴン、C43 AMGステーションワゴンが追加され、1999年には全車にマニュアルモード付き5速ATとESPが標準装備となりました。

メカニズム

エンジンは、1.8L、2.0L、2.2Lの直列4気筒、2.8Lの直列6気筒、2.0L、2.2Lの直列4気筒ディーゼル、2.5Lの直列5気筒ディーゼルなど、多彩なラインナップが用意されました。サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクを採用。トランスミッションは初期型は4速ATでしたが、マイナーチェンジ後はマニュアルモード付き電子制御5速ATとなりました。

まとめ

W202/S202は、メルセデス・ベンツCクラスの歴史において重要なモデルです。そのデザイン、性能、装備、そして希少なAMGモデルの存在は、多くのファンを魅了し続けています。このモデルは、Cクラスという名車の礎を築いた、まさに伝説的な存在と言えるでしょう。

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