モッタ海岸温泉

モッタ海岸温泉

北海道南西部に位置する島牧郡島牧村に、ひっそりと佇む温泉地、それがモッタ海岸温泉です。日本海に面した風光明媚な地域にあり、豊かな自然の中で湯浴みを楽しめる秘湯感あふれる場所として知られています。

泉質とその特徴

この温泉の泉質は、国の定める療養泉分類において「ナトリウム-塩化物泉」に該当します。これは、温泉水に塩化ナトリウム（食塩）が比較的多く含まれている泉質であり、一般的に保温効果が高く、湯冷めしにくい特性を持つことで知られています。また、肌の保湿にも良いとされています。

さらに詳しい泉質名は「中性等張性高温泉」とされています。これは、温泉のpH値が中性域であり、温泉水の浸透圧が人間の体液とほぼ同じ「等張性」であること、そして源泉温度が42℃以上の「高温泉」であることを示しています。具体的には、源泉温度は53.1℃と比較的高温の湯が湧出しています。その他の詳細な成分データとしては、ラドン(Rn)が1.204マッヘ単位/kg、密度が1.0052(20/4℃)、180℃での蒸発残留物が9.407g/kg、そして成分総計は10.12g/kgとなっています。これらの数値からも、成分が比較的豊富な温泉であることがわかります。

湯は湧き出したそのままの状態では無色透明ですが、成分に含まれる硫黄分などが空気に触れることで化学反応を起こし、白い沈殿物、いわゆる「湯の華」が発生し、湯中に漂います。また、かすかに硫黄の香りが感じられることも、この温泉の特徴の一つです。

ラドン泉としての評価

モッタ海岸温泉の特に注目すべき点は、その高いラドン含有量です。微量の放射性物質であるラドンを含む温泉は「放射能泉」と呼ばれ、湯に浸かったり飲用したりすることで健康増進効果が期待されると考えられています。北海道医療大学が行った調査では、モッタ海岸温泉のラドン含有量が、秋田県の玉川温泉に匹敵する、日本国内でも有数のレベルであることが示唆されています。このことから、モッタ海岸温泉はラジウム泉としても高い評価を受けており、その泉質を目当てに訪れる人も少なくありません。

温泉施設

モッタ海岸温泉は、現在のところ「モッタ海岸温泉旅館」という一軒の宿によってその温泉が提供されています。この旅館には、男女それぞれに内湯と露天風呂が一つずつ完備されています。提供される温泉は、一切の加水や循環を行わない「源泉掛け流し」方式を採用しており、常に新鮮な温泉を楽しむことができます。また、この温泉は飲泉も可能であることが確認されており、温泉の恵みを体の外からだけでなく、内側からも取り入れることができます。自然に囲まれた露天風呂からは、四季折々の風景を眺めながらゆったりと湯浴みを楽しめるでしょう。

歴史

モッタ海岸温泉の歴史は比較的浅く、温泉地として開湯したのは1976年（昭和51年）のことです。以来、知る人ぞ知る隠れた名湯として、多くの温泉愛好家や地元の人々に親しまれています。

アクセス

公共交通機関を利用してモッタ海岸温泉へ向かう場合、いくつかの経路があります。鉄道を利用する際は、JR函館本線の黒松内駅が最寄りの駅となりますが、そこから温泉までは距離があり、車での移動が必須となり、所要時間は約1時間20分程度です。

バスを利用する場合は、岩内または黒松内から出発するニセコバスの寿都行きに乗車し、終点の寿都ターミナルで下車します。次に、島牧方面へ向かう島牧線栄浜行きに乗り換え、その終点である「栄浜」バス停で降ります。バス停から宿泊施設までの詳細は情報にありませんが、終点であることから比較的近い位置にあると考えられます。公共交通機関でのアクセスは乗り換えが必要となるため、自家用車やレンタカーを利用するのが最も便利で一般的なアクセス方法と言えるでしょう。

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