モハマッド・ムサ・シャフィク

モハマッド・ムサ・シャフィク（Mohammad Musa Shafiq, 1932年 - 1979年）は、アフガニスタンの政治家であり、同国が王政を敷いていた時代の最後の首相を務めました。彼はカーブル出身で、パシュトゥーン人の血を引いています。父はモハマッド・イブラヒム・カマヴィ師という人物です。

シャフィクは、ダル＝ウリ＝オリュメ・シャリーア・マドラサを卒業後、1955年にエジプトのアル＝アズハル大学に進学し、イスラム法の学士号を取得しました。その後、アメリカに渡り、1955年から1957年にかけてコロンビア大学で法学の学位を取得。在学中は、ニューヨークの裁判所と検察庁で実習生として働く経験も積みました。また、在米学生ムスリム協会の創設者であり、会長も務めたことがあります。

帰国後、1957年にはカーブル大学法学部の講師として教鞭を執り始めます。1957年から1961年にかけては法務省で法典編集課長や法務省機関誌「アル＝ファッラー」の編集長を歴任しました。1961年から1963年には、アフガニスタン初の民間法律事務所を共同で設立しています。1963年12月から1966年3月には法務次官を務め、1964年には憲法準備委員会委員やロヤ・ジルガの代表にも選出されました。1966年から1968年には外務省参事官となり、1968年9月から1971年までは駐エジプト大使として外交官の職務を担いました。

1971年7月26日から1973年7月17日まで外務大臣を務め、さらに1972年12月12日からは首相を兼任。しかし、ムハンマド・ダーウードによるクーデターによって逮捕され、1975年に恩赦によって釈放されました。1978年の四月革命後、再び逮捕され、カーブルで処刑されました。

シャフィクは政治家としての活動の傍ら、詩人、作家としても才能を発揮し、ダリー語とパシュトゥー語で多くの著作を残しています。思想的にはムスリム同胞団に共感していたとされ、原理主義者、保守主義者として知られていました。首相としては、保守的なアフガニスタン社会の改革を支持する一方で、アメリカとのより緊密な関係を求め、アヘン栽培と密輸の取り締まりを約束しました。また、当時イラン帝国との間で発生していた水紛争を外交的に解決する責任も担い、首相としては約7ヶ月間という短い期間でしたが、その間に様々な問題に対処しました。彼の経歴は、激動するアフガニスタンの歴史を象徴するかのようです。

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