アル=アズハル大学

アル=アズハル大学:世界最古の大学の一つ



エジプトの首都カイロにあるアル=アズハル大学は、970年の創設とされる世界最古の大学の一つです。イスラム教スンナ派の最高学府として名高く、その歴史と影響は計り知れません。

輝ける歴史:シーア派からスンナ派



アル=アズハル大学は、970年に建設されたアル=アズハル・モスクに付属する学校として創立されました。当初は「アル=カーヒラ・モスク」と呼ばれていましたが、後に「アズハル」と名付けられました。「アズハル」は、預言者ムハンマドの娘ファーティマの称号に由来するという説が有力です。

創立当初は、ファーティマ朝の影響下でシーア派の学府として発足。イスラーム神学、哲学、法学、アラビア語天文学など幅広い分野を学び、特にギリシア[[哲学]]の研究は盛んでした。カリフが直接管理し、入学は自由、出席は随意、修業年限もないという柔軟な運営が特徴でした。

しかし、12世紀後半にアイユーブ朝のサラーフッディーンがファーティマ朝を滅ぼすと、アル=アズハル大学スンナ派の学府へと変化します。大量の蔵書が売却・廃棄されたと伝えられています。その後も、マムルーク朝、オスマン帝国の支配下でも存続し、イスラーム世界各地から多くの留学生を受け入れました。

近代化への歩みと世界への影響



19世紀以降、アル=アズハル大学はヨーロッパの近代科学を取り入れ、近代化を進めます。スエズ運河開通後は、東南アジアからの留学生も増加し、反植民地運動の拠点の一つにもなりました。

現在、世界中の大学で見られる卒業式の黒いガウンは、アル=アズハル大学のイスラム学者のローブが起源だとされています。卒業生にはイスラームの指導者、裁判官、大学教授、アラビア語教師などが多数おり、汎アラブ主義運動の指導者も輩出しました。

1961年にはナセル政権下で総合大学となり、医学部工学部農学部などが新設されました。現在もイスラム世界における宗教研究・教育の中心的機関として重要な役割を担っています。

著名な卒業生と関連人物



アル=アズハル大学は、多くの著名な人物を輩出しています。

小杉泰(イスラーム研究者、京都[[大学]]教授)
飯森嘉助(中東研究、拓殖大学名誉教授)
ブルハーヌッディーン・ラッバーニー(アフガニスタン初代大統領)
シブガトゥッラー・ムジャッディディー(アフガニスタン上院議長)
アブドゥルラフマン・ワヒド(インドネシア第4代大統領)
小林哲夫(南方方面海軍民政府所属、インドネシア回教学院設立)

また、19世紀のエジプトの歴史家であるアル・ジャバルティーや、同大学の総長を務めたムハンマド・タンターウィーなども関連人物として挙げられます。

まとめ



アル=アズハル大学は、その長い歴史と世界への影響から、イスラム世界のみならず世界の歴史においても重要な位置を占める大学です。シーア派からスンナ派へと変化を遂げた歴史、近代化への積極的な取り組み、そして世界中に影響を与えた卒業生たちは、アル=アズハル大学が今もなお重要な存在であることを物語っています。

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