モンレアーレ大聖堂

モンレアーレ大聖堂

モンレアーレ大聖堂（イタリア語: Duomo di Monreale）は、イタリア南部、シチリア島のモンレアーレに位置する大聖堂です。ノルマン建築の代表的な遺産の一つであり、イタリアの保護文化財に指定されています。2015年には、パレルモの建造物群と共にユネスコの世界遺産に登録されました。

概要

1174年、グリエルモ2世の命により、聖母マリアに捧げる教会として建設が開始され、1182年に完成しました。1184年には教皇ルキウス3世によって首都大司教管区に昇格しました。建設当時は、12の塔を持つ巨大な壁に囲まれた大規模な司教宮殿と修道院がありましたが、現在では塔の一部がわずかに残るのみで、他の建造物の多くは再建されたものです。1200年頃に完成したとされる僧房、食堂、回廊は建設当時のものが大部分残っています。

回廊

回廊は保存状態が非常に良く、この種の建造物としては規模の上でも重要な現存例です。約2,200平方メートルの広さを持ち、ひし形模様が施された尖頭アーチを2本の柱で支える構造になっています。合計216本の白大理石の柱が使用され、未装飾のものと彩色模様が施されたものが交互に並んでいます。彩色には金やガラスのテッセラが用いられ、垂直の帯模様や山路紋模様が柱身に施されています。柱頭には、聖書を題材とした寓意画が葉飾りと共に描かれています。回廊の一角には、ムスリムの彫刻家によって制作されたと考えられる大理石の噴水が設けられた四角形の区域があります。これは僧侶のトイレとして使われていたと考えられています。

教会内部

教会の平面配置は、正教会建築とカトリック教会建築の折衷となっています。西側の身廊はイタリア風のバシリカ様式ですが、内陣のある東側はシリアなどの東方諸国に見られる初期の三つ葉型アプスを思わせる構造です。東西で異なる二つの教会が張り合わされたような独特な印象を与えます。

バシリカ部分の身廊は幅広く、側廊は狭く設計されています。両側合わせて8つの尖頭アーチを支える柱は、1本を除いて東方由来の灰色花崗岩製の一枚岩でできています（1本は雲母大理石）。コリント式の柱頭も初期の様式を伝えています。トリフォリウムはなく、身廊や側廊と同様に簡素な装飾の2つの窓からなる明り層が、教会内に十分な光を取り込んでいます。東側の正教会建築様式部分は、身廊よりもさらに幅広く高さがあります。この部分も中央の空間と両側に側廊を持つ構造で、東端が三つ葉型のアプスを形成しています。屋根は傾斜が緩く、木造のものが露出した単純な構造ですが、鮮やかな彩色が施されています。現在の屋根は大部分が復元されたものです。身廊の西側にある2つの突出部分は塔で、その間が拝廊となっています。西端にはかつて巨大なアトリウムがありましたが、現在は失われ、ジョバンニ・ドメニコ・ガジーニとファツィオ・ガジーニによってルネサンス様式のポルチコに置き換えられました。

モザイク

教会内部のガラスモザイクは、総面積6,500平方メートルにも及ぶ大規模なものです。高い大理石の台胴を除き、アーチの下端や脇柱を含めたすべての面に、金の地に鮮やかな色のモザイク絵が精密に彩られています。モザイク絵は上下左右に枠が設けられ、縦横に配置されています。内陣には、各段で異なる題材や人物を描いたモザイク絵が5つ設けられています。

中央アプスの丸天井には巨大なキリストの上半身像と聖母子座像が、左右のアプスには聖ペテロと聖パウロの全身像が描かれています。モザイク絵にはそれぞれ説明が付されており、ほとんどがラテン語ですが、ギリシャ語のものもあります。身廊のモザイク絵は創世記から始まり、旧約聖書におけるキリストとその贖罪、キリストの降臨を予言し準備した人々の絵が描かれています。下段や内陣周辺には新約聖書に基づいた挿話、キリストの奇跡と受難、使徒、福音伝道者、その他の聖人などが描かれています。10世紀にバシレイオス2世が作成した正教会暦から題材が選ばれていることからも、ビザンティン様式の影響が見られます。

その他

中央アプスの上部には、大理石でできた大司教用の玉座があります。この位置は、アプスと祭壇が聖堂の西端に置かれていた初期バシリカ式の配置の名残です。祭壇の北側前方には、王が使用する同様の玉座が置かれています。1811年の火災で、大理石の柱で支えられた天蓋に覆われていたグリエルモ1世（グリエルモ2世の父）の墓と、グリエルモ2世自身の墓が破壊され、モザイクの一部や内陣のクルミ材、天井の一部、オルガンなどが失われました。火災後、墓などの損傷部分は復元されました。

内陣の北側には、グリエルモ1世の妻マルゲリータ・ディ・ナヴァッラの墓と、その息子ルッジェーロとエンリコの墓、そして1270年に没したフランス王ルイ9世の墓があります。ルイ9世の墓には、内臓を納めた壺が共に埋葬されています。内陣の床面は復元されたものですが、イスラム様式の影響を受けた大理石と斑岩が使用されたコズマスタイルとなっています。身廊のモザイク床は16世紀に完成したもので、大理石で縁取られた斑岩と花崗岩の円形模様が不規則な線と交わっています。

バロック様式の2つの礼拝堂は、それぞれ17世紀と18世紀に追加されたもので、教会の他の部分とは独立しています。モザイクが施された左側玄関の銅製扉は、1185年にボナンノ・ピサーノが鋳造、制作したものです。

関連項目

教区
チェファル

参考文献

この記事にはアメリカ合衆国内で著作権が消滅した次の百科事典本文を含む: Chisholm, Hugh, ed. (1911). Encyclopædia Britannica (英語) (11th ed.). Cambridge University Press.

外部リンク

* “see Palermo - Monreale Abbey” (English)

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