ヤラワチ

マフムード・ヤラワチ：モンゴル帝国の財政を支えた мусульманский 官僚

マフムード・ヤラワチ（生年不詳 - 1255年）は、モンゴル帝国において財政官僚として活躍した人物です。テュルク系の出自で、ホラズム地方出身とされています。彼の名は、漢語史料では瓦剌哇赤、牙剌瓦赤、牙老瓦赤などと記されています。

生涯

ヤラワチは、1221年にチンギス・ハーンの西方遠征の際、ウルゲンチ攻略直前に息子のマスウード・ベクとともにモンゴルに帰順したと伝えられています。しかし、1215年にはホラズム・シャー朝へのモンゴル側の答礼使節の中に彼の名前が見られることから、それ以前からモンゴルに仕えていた可能性も指摘されています。バルジュナ衆の一員であったアサン・サルタグタイやチンカイといった初期の有力な財務幕僚の一人であったと考えられています。

ヤラワチは、チンギス・ハーンの後を継いだ第2代カアン・オゴデイからも厚い信任を受け、マー・ワラー・アンナフルの帝国の西方領土においてその手腕を発揮しました。財政官僚として実績を重ねた後、中央に呼び戻され、旧金朝領（ヒターイー）の財政管理を一任されるまでになりました。彼の息子マスウード・ベクもまた、ビシュバリクを中心とするウイグルからサマルカンド、ブハーラーなどアムダリヤ川に至るまでの中央アジア全域の監督を任されています。

1238年にブハーラーでマフムード・ターラービーによる民衆蜂起が発生した際、ヤラワチは宮廷に熱心に働きかけ、ブハーラー住民への制裁的な覆滅計画を撤回させたと伝えられています。

オゴデイの死後、皇后ドレゲネの信任を得て台頭したアブドゥッラフマーンによって、ヤラワチはチンカイらとともに排斥されました。しかし、ドレゲネが死去し、アブドゥッラフマーンが処刑されると、グユクのもとで旧金朝領（ヒターイー）の財務長官（サーヒブ・ディーワーニー）の職に復帰しました。

1248年にグユクが急死し、オグルガイミシュとチンカイが処刑されると、第4代カアン・モンケの即位時には、燕京等処、別失八里等処、阿母河等処の3地方、すなわち旧金朝領である華北一体、トルキスタン（マー・ワラー・アンナフル方面一帯）、イラン方面の行尚書省が設置されました。ヤラワチは、燕京等処行尚書省において再び財務長官（サーヒブ・ディーワーニー）の職を任じられ、息子のマスウード・ベクもまた、タクラマカン周辺からマー・ワラー・アンナフルまでのトルキスタン方面一帯の財務一切の統括を任されました。このとき、彼ら親子と並んでイラン方面を統括したのが大アミールであるアルグン・アカでした。

『世界征服者史』や『集史』によると、モンケが即位した際、オゴデイ家の皇子たちがモンケに対して反乱を企てたとして、ヤラワチはモンケから処断について意見を求められました。ヤラワチは、アレクサンドロス大王の故事を引用し、反乱に加担した者たちを処刑するよう進言したとされています。これに納得したモンケは、拘禁していた77名を処刑したと伝えられています。

ペルシア語史料において、ヤラワチとその息子マスウードは、中央アジア・イラン地域におけるモンゴル征服以後の戦後復興政策に多大な貢献をしたと評価されています。しかし、『元史』などの漢文史料では、その功績に比して列伝すら編まれていません。これは、元朝において中央アジアのようにヤラワチの子孫が残らなかったためと考えられています。1255年に死去したとされています。

また、クビライの中統元年に燕京行省右丞相に任じられた「禡禡」なる人物がいますが、グユク、モンケ時代のヤラワチの役職も同じ燕京行省右丞相であり、同一人物とする説もあります。この人物は中統3年に亡くなったとされています。

マフムード・ヤラワチは、モンゴル帝国の財政を支えた мусульманский 官僚として、その名を歴史に刻んでいます。

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