ヨハネ23世 (ローマ教皇)

ヨハネ23世：激動の時代を導いた平和の教皇

ヨハネ23世（1881年11月25日 - 1963年6月3日）は、カトリック教会の教皇として、その短い在位期間中に世界に大きな影響を与えました。本名をアンジェロ・ジュゼッペ・ロンカッリといい、その謙虚な人柄と教会刷新への熱意で、多くの人々に愛されました。

生涯

ロンカッリは、イタリアのベルガモ郊外で小作農の家に生まれました。前任の教皇ピウス12世が貴族出身であったのとは対照的です。司祭叙階後、第一次世界大戦に従軍司祭として従軍。その後、ブルガリア、トルコ、ギリシャなど、様々な国で教皇使節としての職務を歴任し、外交手腕を発揮しました。特にフランスでは、親独政権協力司祭への対応という難しい問題に、誠意をもって取り組みました。

1953年には枢機卿に任命され、ヴェネツィアの総大司教となります。そして1958年、ピウス12世の死去に伴うコンクラーヴェで、76歳という高齢で教皇に選出され、世界を驚かせました。

教皇としての功績

ヨハネ23世は、高齢での選出であったため、「つなぎの教皇」と見られることもありましたが、その在位期間は決して短いものではありませんでした。彼は、飾らない人柄とユーモアのセンスで世界を魅了し、教会の一致（エキュメニズム）を強く推進しました。

1500年代以来初めてイングランド国教会の大主教をバチカンに迎え、正教会にも公式メッセージを送るなど、他教会との対話に積極的に取り組みました。東西冷戦の解決にも尽力し、キューバ危機の際には米ソ間の仲介を試みました。

ヨハネ23世の最大の功績は、第2バチカン公会議の開催を決断したことです。彼は、長きにわたって停滞していたカトリック教会の近代化を目指し、公会議の準備を進めました。1962年10月に第2バチカン公会議が開幕しましたが、ヨハネ23世はすでに胃癌に侵されており、会議の終了を見ることなく、1963年6月3日に死去しました。

死後

ヨハネ23世は、死後も多くの人々に敬愛され続けました。2000年には、遺体が腐敗を免れていたことが奇跡と認定され、ヨハネ・パウロ2世によって列福されました。さらに2014年、ヨハネ・パウロ2世と共に列聖され、聖人となりました。

ヨハネ23世は、キリスト教一致を願い、世界平和のために尽力した教皇として、歴史に名を刻んでいます。彼の精神は、現代においてもカトリック教会に大きな影響を与え続けています。

関連情報

『法王の座―ヨハネ23世・激動の20世紀』 ISBN 4195549213
『教皇ヨハネ二十三世』 メリオル・トレバー 菊池雄二共訳 女子パウロ会, 1976年 ISBN 4886262937
* バチカン公式サイト - ヨハネ23世 （英語）

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