ヨルダン座

ヨルダン座について

ヨルダン座（Jordanus または Jordanus Fluvius）は、現在では使われていない星座の一つで、17世紀初頭にオランダの天文学者ペトルス・プランシウスによって考案されました。この星座は、ヨルダン川をモチーフにしており、プランシウスの独創的な視点から生まれたものと言えるでしょう。

プランシウスは1612年に製作した天球儀において、初めてこのヨルダン座を描きました。興味深いことに、プランシウスはプトレマイオス以来、星座形成に使用されていなかったおおぐま座の周辺の星々を利用して、川の姿を描いたのです。彼のこの試みは、星座が持つ象徴的な意味合いを新たに再考するきっかけとなりました。

その後、1624年にはドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスが、彼の著書『Usus Astronomicus planisphaerii stellati』の中で、ヨルダン座に13の星を割り当てた星図を発表します。ドイツの天文学者によるこのような記録は、ヨルダン座の存在を文献の中でさらに強固なものとしました。

しかし、17世紀後半になり、ポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスは、このヨルダン座を自身が考案したりょうけん座やこじし座、やまねこ座などの星座に置き換える星図と星表を作成しました。ヘヴェリウスは天文学界でさまざまな変更を加え、彼の星座が広まる中、次第にヨルダン座は星図から姿を消していく運命をたどります。

特に、ヘヴェリウスの死後である1690年に出版された遺稿『Prodromus Astronomiae』によって、彼の考案した星座は広まった結果、一般的な天文図からヨルダン座に関連する情報が次第に減少しました。

さらに、1706年にはオランダの美術商かつ地図製作者であるカレル・アラードが出版した星図『Hemisphaerium meridionale et septentrionale planisphaerii』において、そして1730年にはベネディクト会修道士であるコルビニアヌス・トーマスが作成した『Mercurii Philosophici Firmamentum Firmianum Descriptionem et Usum Globi Artificialis Coelestis』による描写を最後に、ヨルダン座は完全にその姿を消してしまいました。

このように、ヨルダン座は当時の天文学者たちによる星座の再評価や新たな創造によって、次第に忘れ去られることになったのです。ヨルダン座の影響が完全に消え去った背景には、時代の変遷における天文学の発展と星座の重要性の変化があったことが伺えます。

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