こじし座

こじし座 (Leo Minor)

こじし座、またの名を Leo Minor は、現代の88星座の一つであり、17世紀末に新たに制定された星座です。この星座はしし座とおおぐま座の間に位置し、ライオンがテーマとなっていますが、特に4等星以上の明るい天体は含まれていないため、その存在はあまり目立ちません。興味深いことに、この星座は4つの星座の中でα星を持たない唯一の星座の一つとして知られています。

主な天体

こじし座には、β星が存在しますが、α星は確認されていません。1845年にフランシス・ベイリーが『British Association Catalogue』でこじし座の星々にギリシャ文字を用いて符号付けを行った際、現在の46番星にαの符号を付けるのを忘れたため、こじし座にはα星がないのです。

恒星

国際天文学連合 (IAU) によって認定された固有名を持つ恒星が存在します。特に、46番星は見かけの明るさが3.83等であり、こじし座の中では最も明るい恒星です。固有名は「プラエキプア(Praecipua)」と呼ばれています。

また、HD 82886という恒星には特別な命名がされており、IAU100の記念行事においてアルバニアがその名前を付けました。主星には「Illyrian」、太陽系外惑星には「Arber」という名前が付けられています。他にも、こじし座には見かけの明るさが4.21等のβ星や、脈動変光星のR星なども存在します。

由来と歴史

こじし座の歴史は古く、2世紀頃のローマの学者クラウディオス・プトレマイオスが著作『アルマゲスト』の中で現在のこじし座に該当する星々を「星座に属さない星」として記載していました。その後、オランダの天文学者ペトルス・プランシウスが1612年に製作した天球儀に「ヨルダン座」を設けました。このヨルダン座は後に1624年にヤコブス・バルチウスによって星図に描かれたことで、バルチウスが考案した星座だと誤解されることとなります。

こじし座自体はポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスによって17世紀末に考案されました。彼の妻が1690年に彼の著作『Prodromus Astronomiae』を刊行し、その中の星図『Firmamentum Sobiescianum』と星表『Catalogus Stellarum』にこじし座が初めて登場しました。ヘヴェリウスはプランシウスによって作られたヨルダン座の位置を変更し、こじし座ややまねこ座、りょうけん座という3つの新たな星座を設けて星図を更新しました。

1922年にローマで行われたIAUの設立総会で、現在認識されている88星座の一つに正式に選ばれ、星座名は「Leo Minor」と定められました。新しい星座であるため、この星座には特有の神話や伝説は存在しません。

中国での位置付け

中国の古代天文学においては、こじし座の星々は三垣のうちの太微垣と紫微垣、さらには二十八宿の朱雀七宿に跨って位置していました。太微垣では「少微」という星官に52番星と41番星が属し、それぞれ「大夫」と「議士」という星名が付けられていました。紫微垣の「勢」という星官には34番星と33番星が属していました。また、星宿では「内平」という星官に22、21、13、18の4つの星が関連付けられています。

日本における呼称

日本ではこじし座は明治末期から「小獅子」と訳されていました。この語源は1909年に日本天文学会の会報『天文月報』に掲載された星図から確認できます。この名称は1925年に発売された『理科年表』にも引き継がれ、1943年頃まで使われていました。1944年には天文学用語が改訂され、「こじし」という読みが確立され、その後、1952年には日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」方針を定めたため、その後も「こじし」という名称が独自の学名として利用されています。

もう一度検索