ラウンデル・パーマー (初代セルボーン伯爵)

初代セルボーン伯爵ラウンデル・パーマー：イギリス法曹界と政界を駆け抜けた生涯

初代セルボーン伯爵ラウンデル・パーマー(1812年11月27日-1895年5月4日)は、19世紀イギリスを代表する政治家、法律家、そして貴族でした。彼の生涯は、卓越した知性と揺るぎない信念によって彩られ、イギリスの政治と法曹界に多大な影響を与えました。

華麗なるキャリアの始まり

オックスフォードシャーで牧師の息子として生まれたパーマーは、名門ラグビー校とウィンチェスター・カレッジを経てオックスフォード大学を卒業。その後、リンカーン法曹院に進み弁護士資格を取得します。1847年、プリマス選挙区から庶民院議員に選出され、政治の世界に足を踏み入れました。当初はピール派に属していましたが、保守的な姿勢から反カトリック的な聖職者称号法に反対票を投じたことや、クリミア戦争とアロー戦争への反対から批判を受け、一時的に議席を失うことになります。

グラッドストンとの出会い、そして政府への登竜門

議席を失った期間は弁護士として活躍、後の首相となるウィリアム・グラッドストンとの関係を深めます。1861年、パーマストン子爵内閣で法務次官に就任、ナイトの称号を受けると同時にリッチモンド選挙区から選出され、再び庶民院議員となります。1863年には法務総裁に昇進し、政府の中枢で重要な役割を担うようになりました。

大法官への就任と貴族への叙爵

1872年、第1次グラッドストン内閣において大法官に就任。大法官職は貴族院議長を兼務していたため、セルボーン男爵に叙爵されました。1874年の政権交代後も、1880年に発足した第2次グラッドストン内閣で再び大法官に就任し、さらにセルボーン伯爵に叙爵されます。この間、エジプト・スーダンにおけるマフディーの反乱では、ゴードン将軍救援の必要性を強く主張するなど、政府の重要な政策決定に深く関わりました。

アイルランド自治問題と晩年

しかし、グラッドストンのアイルランド自治政策には反対し、第3次グラッドストン内閣には参加せず、自由統一党に参加しました。これは、彼の保守的な信念と、アイルランド自治に対する懸念を反映していると言えるでしょう。1895年、ハンプシャーで生涯を閉じました。

家族とその後

1848年、パーマーはローラ・ウォルドグレイブと結婚し、5人の子供をもうけました。その中には、後を継いだ第2代セルボーン伯爵ウィリアム・ウォルドグレイブ・パーマーも含まれます。

評価

ラウンデル・パーマーは、卓越した法律家としての能力と、政治家としての高い手腕を兼ね備えた人物でした。彼の政治的立場は常に一貫性を持ち、信念に基づいた行動を貫きました。反カトリック的な姿勢やアイルランド自治への反対など、保守的な面も見られますが、時代の変遷の中で常に自らの信念を貫き、イギリスの政治と法曹界に多大な貢献を果たしたことは事実です。彼の功績は、今日でも高く評価されています。彼の生涯は、信念と行動、そして時代の変化の中で政治家として生き抜くことの難しさを示す、貴重な歴史的記録となっています。

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