ラカーユ9352

ラカーユ9352（Lacaille 9352）は、みなみのうお座の方向に約10.7光年離れた場所に位置する赤色矮星です。グリーゼ887やHD 217987といった別名でも知られています。この恒星は、変光星である可能性が指摘されており、ニコラ・ルイ・ド・ラカーユが作成した恒星図にも記載されています。特に固有運動が大きいことで知られており、その記録は1881年にアメリカの天文学者ベンジャミン・グールドによって初めて発表されました。ラカーユ9352の質量と半径は、共に太陽の約半分程度です。見かけの明るさは7等級で、肉眼での観測は非常に困難です。

ラカーユ9352に最も近い恒星は、みずがめ座EZ星系で、その距離は約4.1光年です。この星は、カプタイン星などと共に、赤色矮星として初めて角直径が測定された星の一つとしても知られています。

2000年には、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測が行われましたが、ラカーユ9352の周囲には褐色矮星や木星型惑星は発見されませんでした。しかし、恒星から約0.22天文単位離れた位置に地球型惑星が存在すれば、液体の水が安定して存在できる環境が形成される可能性があると考えられています。

その後、2020年6月には、ドップラー分光法による観測によって、ラカーユ9352の周囲を公転する2つのスーパーアースサイズの惑星が発見されました。これらの惑星の公転周期はそれぞれ9.3日と21.8日です。さらに、約50日周期で公転するもう一つのスーパーアースの存在も示唆されています。未確認の3番目の惑星は、ハビタブルゾーン内に位置している可能性も指摘されています。

興味深いことに、ラカーユ9352は他の多くの赤色矮星とは異なり、恒星活動が比較的穏やかであることが分かっています。このため、ラカーユ9352の惑星は、主星から地球よりも多くの光を受けているにもかかわらず、恒星風によって大気が宇宙空間に散逸する可能性が低いと考えられています。これは、惑星の大気が安定して存在できる可能性を示唆しており、生命の存在可能性を考える上で重要な要素となります。

ラカーユ9352は、その特性や惑星系の存在によって、天文学的な観測や研究の対象として非常に注目されています。今後の観測や研究によって、さらなる詳細な情報が明らかになることが期待されます。

関連項目

近い恒星の一覧
最寄りの地球型太陽系外惑星の一覧
カプタイン星

外部リンク

Planet GJ 887 b・Planet GJ 887 c - The Extrasolar Planet Encyclopaedia
GJ 887 - NASA Exoplanet Archive（PLANET HOST OVERVIEW）
GJ 887 b・GJ 887 c - Exokyoto（日本語）
* GJ 887 b・GJ 887 c - Exokyoto（英語）

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