ラグビーボール (競走馬)

ラグビーボール - 飛翔と苦悩の競走馬人生

1983年3月10日生まれの競走馬、ラグビーボール。その名は、デビュー当時、予測不能な走りを見せたことに由来します。当初は「ブラックマジック」という名前が予定されていましたが、予測不能な動きから、ラグビーボールのようにあちこちに跳ね回る様子を連想させ、現在の名前に変更されました。

1986年2月22日、阪神競馬場でのデビュー戦を勝利で飾ると、続くさわらび賞も制覇。「関西の秘密兵器」と称賛され、注目を集めました。東京優駿（日本ダービー）を目指し、皐月賞を回避して臨んだNHK杯では2馬身差の圧勝劇を演じ、ダービーでの優勝候補の筆頭として期待が高まりました。しかし、ダービー本番ではダイナガリバーに敗れ4着。その後、古馬混合戦である高松宮杯を制し、その実力を改めて証明しました。

しかし、この頃からラグビーボールは腱鞘炎による脚部不安に悩まされるようになります。思うような調教ができず、本来の実力を発揮できないレースが続きました。京都新聞杯では5着、単勝1番人気に推された菊花賞でも3着と、期待に応えることができませんでした。ジャパンカップでは4着と健闘しましたが、再び脚部不安が悪化し、有馬記念への出走は叶いませんでした。

その後も復帰を目指して調整が続けられましたが、脚部不安は繰り返し発症し、思うようにレースに出走することができませんでした。6歳までこの状態が続き、7歳で競走馬を引退することになりました。

引退後は、下河辺牧場日高支場で種牡馬としての道を歩みます。ここで、ラグビーボールは数々の活躍馬を輩出しました。目黒記念やダイヤモンドステークスを制したユウセンショウ、中山大障害を制したユウフヨウホウなど、中央競馬の重賞競走で勝利する馬が数多く誕生しました。さらに、小田切有一氏の所有馬にもその血を受け継ぐ馬がおり、ラグビーボールの血統の豊かさを示しています。

種牡馬としても成功を収めたラグビーボールでしたが、1997年、放牧中に右後脚を骨折し、安楽死の処置が取られました。享年14歳でした。しかし、その血統はその後も受け継がれ、2014年には、ラグビーボールをブルードメアサイアー（母方の父）とするカゼノコがジャパンダートダービーを制覇。ラグビーボールの血統が初めて平地GI競走で勝利を収めるという快挙を成し遂げました。

ラグビーボールの競走生活は、華々しい勝利と、脚部不安との闘いという苦悩の両面がありました。しかし、その血統は多くの優秀な競走馬を生み出し、現代競馬においてもその存在感を示しています。短くも輝かしい競走馬人生、そして種牡馬として後世に多大なる影響を与えたラグビーボールの物語は、競馬史に永遠に刻まれるでしょう。

主な産駒

スーパープレイ（札幌記念、建依別賞）
グレートマジック（朱鷺大賞典）
ユウセンショウ（目黒記念、ダイヤモンドステークス2回）
ゴーテンジョウ（プリンセス特別、東海クイーンカップ）
キムタツアンテール（サラブレッド3歳優駿）
マルハチラグビー（若葉賞、さつき賞、すみれ賞）
ユウフヨウホウ（中山大障害）
タフネススター（カブトヤマ記念）
キングカーペンター（九州菊花賞）

ブルードメアサイアーとしての主な産駒

カゼニフカレテ（愛知杯）
アッパレアッパレ（名古屋グランプリ）
カゼノコ（ジャパンダートダービー、川崎記念2着）
* モンドクラッセ（東海ステークス2着）

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