ラフレッシュ

ラフレッシュ - イギリス競馬史に輝く名牝

19世紀末、イギリス競馬界を席巻した競走馬、ラフレッシュ。その名は、フランス語で「矢」を意味し、矢筒を意味する母名Quiverと響き合います。彼女は、ヴィクトリア女王が所有し、大種牡馬セントサイモンを父に持つサラブレッドでした。

華々しいデビューと三冠達成

2歳時の競り市では、優れた体格と名門血統、そして全姉メモワールがオークスとセントレジャーステークスを制覇した実績から、牝馬としては破格の5,500ギニーという高値で落札されました。セントサイモン産駒は気性難で知られていましたが、ラフレッシュはおとなしい性格だったと伝えられています。

3歳シーズン、ラフレッシュは圧倒的な強さで1000ギニーを制しました。続くエプソムダービーでは、僚馬の故障により出走の機会を得て、1番人気に支持されましたが、騎手の戦略ミスにより、サーユーゴに敗れ2着に終わりました。しかし、その後のセントレジャーステークスではサーユーゴに圧勝し、見事イギリス牝馬クラシック三冠を達成。史上4頭目の快挙を成し遂げました。2歳から3歳にかけての成績は13戦12勝という驚異的なものでした。

4歳以降と繁殖牝馬としての活躍

4歳になると厩舎変更などの影響もあり、成績は低迷。しかし、5歳で復活を遂げ、アスコットゴールドカップを制覇。さらに、妊娠中にも関わらずチャンピオンステークスを制し、華麗な競走生活に幕を閉じました。

繁殖牝馬としても、その血統は大きな影響を与えました。代表産駒のジョンオガウントは、2000ギニーとエプソムダービーで2着に入るなど活躍し、種牡馬としてスウィンフォードを輩出しました。また、バロネスラフレッシュは牝系を繋ぎ、現代の名馬であるヤマブキオー、メジロムサシ、サンデーサイレンス、ファビラスラフインといった馬たちへとその血脈は受け継がれています。

穏やかな最期

1912年に繁殖牝馬を引退したラフレッシュは、スレドメア牧場で余生を送り、1916年4月22日、27歳で老衰により亡くなりました。

競走成績

1891年（4戦4勝）：シャンペンステークス、モールコームステークス
1892年（9戦8勝）：セントレジャーステークス、オークス、1000ギニー、ナッソーステークス、ケンブリッジャーステークス、ニューマーケットオークス、エプソムダービー2着
1893年（7戦2勝）
1894年（4戦2勝）：アスコットゴールドカップ、チャンピオンカップ、ハードウイックステークス2着

主要産駒

ジョンオガウント：2000ギニー、エプソムダービー2着。産駒にスウィンフォード
バロネスラフレッシュ：牝系を繋ぎ、多くの名馬を輩出

ラフレッシュは、類まれな才能と気品を兼ね備えた名牝として、イギリス競馬史にその名を刻み込みました。彼女の血統は、現代の競馬界にも大きな影響を与え続けています。

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