ラモン・マルティネス

ラモン・ハイメ・マルティネス：剛腕ドミニカンドリーム

ラモン・ハイメ・マルティネス（Ramon Jaime Martinez）は、1968年3月22日、ドミニカ共和国サントドミンゴに生まれました。彼の名前を知らなくても、弟であるボストン・レッドソックスなどで活躍した名投手ペドロ・マルティネスの名前を聞けば、ピンとくる野球ファンも多いのではないでしょうか。ラモンは、その才能を開花させ、メジャーリーグで確かな足跡を残した投手でした。

ドジャースとの出会いとメジャーデビュー

1984年9月1日、ラモンはロサンゼルス・ドジャースと契約を結び、プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせました。マイナーリーグで着実に成長を遂げ、1987年にはA級で16勝5敗、防御率2.17という素晴らしい成績を記録。1988年にはAA級・AAA級の合計で13勝6敗、防御率2.58とさらに進化し、ついにメジャー昇格を果たします。そして、同年8月13日、サンフランシスコ・ジャイアンツ戦で、20歳という若さでメジャーデビューを飾りました。

エースとしての覚醒とオールスター選出

1989年はマイナーで開幕を迎えますが、すぐにメジャーに昇格。6月5日のアトランタ・ブレーブス戦では、メジャー初完封を達成。終盤には先発ローテーションに定着し、6勝4敗、防御率3.19という成績を残しました。翌1990年には、6月4日のブレーブス戦で18奪三振完封勝利を挙げるなど、前半戦で9勝4敗、防御率3.20、131奪三振を記録し、オールスターゲームに初選出されるなど、まさにエースと呼ぶにふさわしい活躍を見せました。後半戦も勢いは止まらず、11勝2敗、防御率2.66とさらに調子を上げ、最終的に20勝6敗、防御率2.92、223奪三振、リーグトップの12完投を記録。サイ・ヤング賞の投票では、惜しくもダグ・ドレイベックに次ぐ2位となりました。オフには、日米野球にMLB選抜の一員として出場し、日本のファンにもその実力を披露しました。

苦難を乗り越えてのノーヒットノーラン達成

1991年以降は、故障などもあってやや調子を落とす時期もありましたが、1995年7月14日のフロリダ・マーリンズ戦では、ノーヒットノーランを達成。後半戦で9勝1敗、防御率2.66と再び調子を上げ、リーグワーストの81四球を記録しながらも、17勝7敗、防御率3.66という好成績を残し、チームの地区優勝に大きく貢献しました。シンシナティ・レッズとのディビジョンシリーズでは、第1戦に先発するも5回途中7失点で敗戦投手となり、チームも3連敗で敗退。サイ・ヤング賞の投票では5位に入りました。1996年には、弟ペドロ・マルティネスとの兄弟先発対決も実現し、勝利投手となりました。

レッドソックスでの兄弟共演と引退

1999年にはボストン・レッドソックスに移籍し、弟ペドロとチームメイトになります。同年は4試合の登板に終わりますが、チームはワイルドカードを獲得し、ポストシーズンに進出。クリーブランド・インディアンスとのディビジョンシリーズでは第3戦に先発し、ニューヨーク・ヤンキースとのリーグチャンピオンシップシリーズでも先発を務めました。2000年オフにフリーエージェントとなり、2001年に古巣ドジャースと契約するも、開幕直前に解雇。その後、ピッツバーグ・パイレーツと契約しますが、結果を残せず解雇され、現役を引退しました。

ラモン・マルティネスは、その恵まれた体格から投げ込まれる速球と、多彩な変化球を武器に、メジャーリーグで13年間活躍しました。弟ペドロほどの圧倒的な成績は残せなかったものの、ドジャースのエースとして、そしてレッドソックスの一員として、その存在感を示しました。彼の野球人生は、まさにドミニカンドリームを体現したものでした。

もう一度検索