リアリティ・ツアー

リアリティ・ツアー（A Reality Tour）

「リアリティ・ツアー」は、イギリスの伝説的なミュージシャン、デヴィッド・ボウイが2003年から2004年にかけて敢行したコンサートツアーです。このツアーは、彼の最新アルバム『リアリティ』のリリースを記念して開催されましたが、結果的にボウイにとって最後のツアーとなりました。

ツアーの規模と背景

2003年6月にその実施が発表されたこのツアーは、1995年の「アウトサイド・ツアー」以来となる大規模な展開となりました。全17カ国を巡り、100万人を超える観客を動員。合計112回という公演数は、ボウイのキャリアを通じて最も長期間にわたるツアーとして記録されています。このツアーは、長年のファンから新しいリスナーまで、幅広い層に向けて彼の音楽の集大成を披露する機会となりました。

演奏された楽曲

セットリストは、1969年の名曲「スペイス・オディティ」から、当時の最新作『リアリティ』からの楽曲に至るまで、ボウイの広範なキャリアを網羅しました。自身の代表曲に加え、他アーティストに提供した楽曲や共作曲も披露されています。例えば、モット・ザ・フープルに提供した「すべての若き野郎ども」、イギー・ポップとの共作「シスター・ミッドナイト」（1977年のイギーのアルバム『イディオット』収録）、クイーンとの共作「アンダー・プレッシャー」（1981年シングルリリース、1982年クイーンのアルバム『ホット・スペース』収録）などが演奏されました。一方で、アルバム『デヴィッド・ボウイ（最初のアルバム）』、『ピンナップス』、『ネヴァー・レット・ミー・ダウン』、『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』、『アワーズ…』といった一部の作品からは、このツアーで演奏された曲はありませんでした。

ツアー中に発生した出来事

長期間にわたるツアー中には、いくつかの予期せぬ出来事も発生しました。

マイアミ公演の中止: 2004年5月6日にマイアミのジェームズL. ナイト・センターで予定されていた公演では、開演直前にステージ設営中の作業員が梯子から落下し、痛ましい事故が発生しました。この事態を受け、公演は中止となりました。
オスロ公演でのアクシデント: 2004年6月18日のノルウェー、オスロでの公演中、観客の一人が投げたロリポップがボウイの左目に当たってしまうという出来事がありました。ショーは一時中断されましたが、ボウイはその後ステージに戻り、パフォーマンスを再開しました。
ツアーの早期終了: ツアーは当初、2004年7月23日まで続く予定でした。しかし、2004年6月25日のドイツ、シェーセルでの公演を終えた後、ボウイは深刻な健康上の問題に見舞われます。血管形成術を必要とする動脈閉塞と診断されたため、医師の勧告により、以降に予定されていた全ての公演がやむなくキャンセルされました。これにより、「リアリティ・ツアー」は予定より早く幕を閉じることとなりました。

公式な記録

このツアーの一部は公式に記録されています。2003年11月22日と23日に行われたアイルランド、ダブリンでの公演の模様は、2004年に映像作品『リアリティ・ツアー』としてリリースされました。また、このライブ音源は、後に2010年にCDとしてもリリースされ、多くのファンがツアーの熱気を追体験することを可能にしました。

参加ミュージシャン

デヴィッド・ボウイのパフォーマンスを支えたのは、経験豊富な優れたミュージシャンたちでした。主な参加メンバーは以下の通りです。

デヴィッド・ボウイ：リード・ボーカル、ギター、スタイロフォン、ハーモニカ
アール・スリック：ギター
ジェリー・レナード：ギター、バッキング・ボーカル、音楽監督
ゲイル・アン・ドロシー：ベースギター、ボーカル
スターリング・キャンベル：ドラムス
マイク・ガーソン：キーボード、ピアノ
キャサリン・ラッセル：キーボード、パーカッション、ギター、バッキング・ボーカル

これらのメンバーと共に、ボウイはキャリアの最後を飾るにふさわしい、パワフルで感動的なパフォーマンスを世界中のオーディエンスに届けました。

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