リゾートやまどり

リゾートやまどりとは、東日本旅客鉄道（JR東日本）が2011年から2022年まで保有・運用していた観光列車、ジョイフルトレインに分類される電車です。国鉄時代から長きにわたり日本の鉄道を支えてきた485系特急形電車を改造して誕生しました。愛称は、運行エリアである群馬県の県鳥であるヤマドリに由来しています。

この車両は、2011年の群馬デスティネーションキャンペーンに合わせて、「のってたのしい列車」シリーズの一つとして、JR東日本高崎支社に導入されました。特に、日本の鉄道史における485系電車の歴史において、最後まで現役で活躍した車両としても特筆されます。

車両の設計と特徴

リゾートやまどりは、かつてお座敷列車として活躍していた485系改造車両「やまなみ」と「せせらぎ」の一部を種車として、東急車輛製造で改造が施されました。編成番号はYD-01が付与された6両編成です。

外観デザインのコンセプトは「癒しと郷愁」。車体上部は旧型客車を思わせる重厚な「ぶどう色2号」、車体下部は大地から芽吹く草木をイメージした「濃萌黄色」という、落ち着いたツートンカラーが特徴でした。前照灯の位置を上部に移設するなど、種車からの外観上の変化も見られます。

車内設備では、初代「成田エクスプレス」として使用されていた253系電車のグリーン車から発生したリクライニングシートを再利用しています。普通車扱いではありましたが、座席配置は通路を挟んで横2席＋1席（2+1アブレスト）というゆったりしたもので、座席間隔（シートピッチ）も120cmと、かつての特急列車のグリーン車に匹敵する快適性を誇っていました。また、団体利用などを考慮し、2号車にはミーティング室「和」、4号車には子供向けのキッズスペースが設けられていました。

主な運用と歴史

高崎車両センターに所属していたリゾートやまどりは、主に首都圏から群馬方面への臨時列車として活躍しました。その大半は快速列車としての運用でしたが、登場年の2011年夏には特急「リゾート草津」としても運行された実績があります。

特に、大宮駅と長野原草津口駅を結ぶ臨時快速列車「リゾートやまどり」として定期的に設定されていましたが、この列車自体は2018年9月2日の運行を最後に姿を消しました。一時期は武蔵野線を経由して八王子駅まで運転される「はちおうじやまどり」や、新習志野駅まで運転される「しもうさやまどり」といった派生列車も存在しました。

また、毎年夏季を中心に大宮駅と越後湯沢駅の間を結ぶ快速「谷川岳ループ」「谷川岳もぐら」などにも充当されていましたが、これらの列車は2022年10月30日からE257系に置き換えられ、特急列車に格上げされました。

2022年10月30日にお座敷列車「華」が運用を終えた後、リゾートやまどりは日本の鉄道から485系電車の営業用車両が消える中で、最後まで現役だった編成となりました。そして、2022年12月11日に上尾駅〜長野原草津口駅間で実施された往復の臨時運転をもって、その営業運転を終了しました。これにより、1964年のデビュー以来、約58年間に及ぶ485系電車の運用が全て終了する歴史的な瞬間を迎えました。

営業運転終了後、リゾートやまどりは2022年12月27日に高崎車両センターから郡山総合車両センターへ廃車のための回送が行われ、翌12月28日付で廃車となりました。その後、全ての車両が解体されています。

種車となった「やまなみ」「せせらぎ」

リゾートやまどりの改造元となった「やまなみ」と「せせらぎ」は、いずれも老朽化した和風客車の置き換え用として、485系電車から改造されたお座敷列車です。「やまなみ」は1999年に、「せせらぎ」は2001年に登場しました。

「やまなみ」は「ハイグレードな日本調空間」をコンセプトに、緑色の車体に赤のラインを配したデザインでした。一方、「せせらぎ」は「日本の四季をめぐる空間」をコンセプトとし、赤系の車体に白のラインが入ったデザインで、「やまなみ」との併結運転も可能でした。

両編成とも、客室は掘りごたつ式の畳敷きで、展望室やミーティングルーム、休憩室などが備えられていました。これらの車両も2010年までに営業運転を終了し、「やまなみ」の中間電動車ユニットと「せせらぎ」編成全体がリゾートやまどりに再改造されるという道をたどりました。「やまなみ」の残った先頭車は、後に観光列車「ジパング」の一部として再び活用されました。

リゾートやまどりは、その個性的な外観と快適な座席、そして485系の最後の車両としての存在感から、多くの鉄道ファンや利用者にとって忘れられない車両となりました。

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